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の雪見風呂詩

小さな滝が揺らした湯の面(おもて)で渦がちょうど果てる辺りに
もの云わぬ宇宙のようにぽつり、座ってぼくはいる。
肩を冷やしてはまた温(ぬく)め、腕を乾かしてはまた浸し
冷たい風のなかに裸を置いて、ぼくは一つの宇宙だった。

星 舞うように雪の片(ひら)が舞い
星 落つるように梢からーー

湧いては散る白雲を流していく風は見えるようで見えないな
目を瞑って、真っ白な湯煙の向こうに積もった雪について考えていた