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籠蝶造物茶会 Act 2

「でもいいじゃない」
大学って色んな人がいる所でしょう?と女子大生は続けた。
「はぁ」
メガネの女子大生は溜め息をついた。
「とにかくアンタ何者なのよ」
ワタシ?と女子大生は自分を指さす。
「ワタシはね」
女子大生は立ち上がる。
「…ワタシは、宝条 すみれ」
文学部よ、と女子大生は付け足す。
「よろしくね、万 寧依」
「え? 何でわたしの名前を…」
突然自分の名前を呼ばれて、メガネの女子大生は困惑する。
すみれはうふふと笑う。
「あなた意外と有名人なのよ」
じゃあね、とすみれはその場から立ち去った。
「…」
寧依は暫くその場で呆然としていた。

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Trans Far-East Travelogue⑩

試合はかなりの乱打戦になり、結局負けた
「巨人負けちゃったけど、プロ野球ってこんなに面白かったんだね。こんな面白いと誰だって熱中するし、この楽しみが分からない女の子は振られるよね」と彼女が呟くので「まぁ俺は君がプロ野球の楽しみ知らないからって振ることはないけどね。俺達在京組は複数球団で皆が仲間でライバルだけど、西日本の球団、特に名古屋のドラゴンズ、大阪のタイガース、広島のカープは地元の人から大切にされててるからファンは熱くなるよなぁ」と返すと「私、それで振られたんだね。あの人、カープファンだから…でも、そのことはおしまい。貴方と一緒ならどんなことでも楽しめるかも」と言ってスッキリした表情で笑顔になった
「やっと笑ってくれたな。バッセンでは君の笑顔見らんなかったから心配したんだぜ?」と言って笑うと「昔貴方を振ってまで一緒になろうとした位好きだった男が野球部のピッチャーだったから貴方のストラックアウト見てると当時を思い出して怖かったんだもん。でも、貴方のお陰で新しい発見もできたし、打球が当たりそうな時庇ってくれたでしょ?カッコよかったなぁ…こんな私を好きになってくれてありがとう」と言って俺に抱きついて来る
「自己満足で作ったデートでも楽しんでくれて良かったよ。ただ、明日は君が行きたがってた三多摩寄れるか相談してみるよ」と言って早速電話で台北松山組に相談するが、彼らの応援する西武は今日勝ったので調子に乗ってもう呑んでいるのか電話は繋がっても呂律が回ってない
高雄組と合流して相談すると「三多摩寄るのは良いけど、寝袋とか用意しろよ?」と衝撃の一言が返って来る
「もしかして、東の川向こうに行けば借りられる所が多いアレ手配したのか?」と訊くと「御名答!事後報告だけど、俺達が台湾の原住民の仲間とのコネ利用して買った、飛騨と伊豆のアレ使うよ。それで甲信越回って北上して、関越から圏央で太平洋側出て伊豆、駿州回ろうかなと」と返して来る
「なら、山梨の彼処で良くないか?わざわざ石和まで降りて泊まるのか?」と訊くと「君があの温泉施設に愛着強いと思って最初に提案したんだけど、そこが好きならそこでも良いよ。今回の旅の主役は君達であって、俺達はそのサポート役だからね。那覇から先の主導権は俺達が握らせて貰うけど」と言うので「まぁ台湾は君に任せるよな」と返し、後楽園は笑い声に包まれる