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幺妖造物茶会 Act 11

「そんなことはどうでもいいだろ」
とにかくソレを元の場所に戻せよ、とナツィはキヲンに促す。
「えー分かってるよ〜」
そう言いながら、キヲンは前を向く。
…と、何かと目が合った。
「…!」
それは大きな獣型の精霊だった。
「…どきなっ‼︎」
ナツィがどこからともなく黒鉄色の鎌を出し、キヲンを押し退け目の前の精霊に斬りかかった。
しかし精霊は易々とその攻撃を避ける。
「…チッ」
避けやがって、とナツィは舌を打つ。
「お前らは下がってろ!」
コイツは俺が押さえる!とナツィは背後の仲間たちに呼びかける。

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雨に包まれて

ぼやけた信号機
虚空に夢を描いて
揺らめく水たまりに
蛙(かわず)の足跡
雨、雨、雨。
僕を溶かして消し去って
どんより雲に染まった亡霊
昨日から降り止まぬは
きっと泣けない僕の代わりに
空が泣いているから


KGBさんへ
すみません。先程の投稿のタグを自分で作ったのにも関わらず間違えましたので、上げ直しさせてください。
あと、このメッセージと最初の投稿を消して頂けると幸いです。お手数おかけ致しますがお願い致します。

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雨傘造物帰路 上

突然降り出した豪雨の中、1人のコドモが折り畳み傘をさしながら歩いている。
左肩に買い物袋を提げながら、そのコドモ…かすみは路地裏を進んでいた。
…と、ふとかすみは足を止めた。
その目の先には、黒い外套を着て頭巾を目深に被った“誰か”がこちらに向かって歩いて来ていた。
「…」
かすみはその人物を目で追っていたが、その人物が自分の傍を通り過ぎる際に何かに気付いたように声を上げた。
「…ナツィ?」
“誰か”はぴたと立ち止まった。
そしてぎこちなく振り向いた。
「…」
黒い外套の人物…ナツィは、気まずそうな顔でかすみを見る。
「どうしたの?」
傘もささないで、とかすみは首を傾げる。
「…」
ナツィは黙って目線を逸らす。
「どうしたのナツィ」
何か…とかすみが言いかけた所で、ナツィが遮るようにこう言った。
「放っとけ」
「え」
かすみが思わずぽかんとして、なんで…と言うとナツィは放っとけ!と語気を強めた。

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雨に包まれて

ぼやけた信号機
虚空に夢を描いて
揺らめく水たまりに
蛙(かわず)の足跡
雨、雨、雨。
僕を溶かして消し去って
どんより雲に染まった亡霊
昨日から降り止まぬは
きっと泣けない僕の代わりに
空が泣いているから

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動揺

図星に頭を揺さぶられ過ぎて
「ありがとう」もロクに言えない

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白と黒と青き星〜第7話 真相〜前編

翌朝の分のカレーを残して4人は食事を終えた。
早めに終わらせたのは9時を回るということと、食事の後に美空も含め、もう一度議論するためだった。
「急かして悪かったな」
「全然、どうせ私抜きだと話が上手くまとまらなかったんでしょ」
当たらずしも遠からず…
言い方はムカつくが美空も2人が迎えに現れた目的をおおよそ捉えていた。
「話が早くて助かるよ」
こういう時津上の優しい性格は話がスムーズで助かる。
「単刀直入に聞く、今日の出撃に違和感はなかった?」
「何?ジョーが何か言ったの?」
「ひとまず直感で答えてくれ」
津上のズルさだ。優しい顔から真面目な顔に変えるだけで説得力をもたせられる。
「違和感も何も…ただのバディ単位の出撃だったよ」
聞いてたのかと思うほどジョーの言ってたことと一致する。ある意味これがバディの所以なのか…
「確かに形式は珍しくない、でも…」
そう言いかけて時計を気にした。10時に迫ろうというところ、明日も普通に授業だ。ここでさっきと同じルートを辿り直す時間はない。
「でも?」
「でも俺らの出撃内容を鑑みると素直にそうは思えないんだ」
少しだけジョーに目線を送り、助けを求める。
「え?あぁ、色々見てみるといつも通りってわけではなさそうなんだ」
「ふーん、それで?その何が気になるの?」
まるで他人事といった態度だ。まぁそう思うのも自分たちの結論があるからなのだが…
「そこが本題なんだ…」
【AA0X期部隊、直ちに業務室まで来るように】
聞いていたかのようなタイミングで呼び出しの放送が入る。

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白と黒と青き星〜第6話 団欒〜

その夜、美空の帰りを待ってから食事とした。その時間はもう8時を越えていた。
「任務からライブでお疲れ様」
大幡はいち早く戸の音に気づいて声をかけた。
「ありがとゆいな、なんか今日2回目だね」
「確かに」
そうして2人とも笑っている。
「ご飯できてるよ」
おかえり、という言葉の代わりにそう言えるのはご飯を作った人の特権だなと五代は思ったが、津上の前で言葉にはしたくなかった。
「ご飯!お腹ぺこぺこ〜」
美空は目を輝かせて部屋に走ってくる。
「だからって荷物を俺に投げるなよ」
美空のライブ機材は光の力に依存しているため専属スタッフでも扱える人は限られる。そのため、こういった単発のライブでは個人で管理することが多く、荷物がおおいこともザラだ。
「って…なんでみんなの分まで?」
食卓を見てさすがに美空も空気と状況を察したようだ。
「俺らもまだ食べてないんだよ」
荷物をそっと床に並べながら愚痴をこぼす。
「そういうのは早く言ってよ、なんか私が勝手みたいじゃん!」
“勝手は事実だろ”
この意見はおそらく3人共通だ。
「カレー、冷める前に食べちゃおうぜ」
津上が言うといつも通りの食事の時間と思える。やはりこういう普段通りの団欒はいいものだ。
任務に対して疑問を持ったからか…改めてバディの楽しさを感じたからか…
今日は特にそんな感傷に浸ってしまう。
「これが期間限定なんて…やっぱ残酷だよな」