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虹、背中、まあるい雫

あの人の背中に虹が見えた

もしかして 好きなのかな 恋しちゃったのかな

わからないや

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緋い魔女と黒い蝶 Act 1

木々が青々と茂る山の中、2つの人影が歩いている。
一方は長い赤毛の少女で、丈の長いワンピースを着ている。
もう一方は短い黒髪のコドモで、暖かい時期なのに黒い外套を着て頭巾を被っている。
2人は静かに歩いていたが、ふと赤毛の少女が立ち止まった。
「…お前、その頭巾を外したらどう?」
赤毛の少女が振り向きざまにそう言うと、黒い人物はぴたと足を止める。
「この通り暑いし、ここは山の中だからお前の嫌いな人目もほとんどないし」
顔を隠す必要はないと思うんだけど、と赤毛の少女は呟く。
「…別に」
俺は好きで被ってるからいいんだよ、と黒い人物はそっぽを向く。
「あらそう」
そう言って少女は前を向いて歩き出す。
「…それにしても今回の依頼は、”脱走したホムンクルスの捕縛“ねぇ」
随分とまた面倒そうな依頼を引き受けてしまったわ、と少女はこぼす。
「じゃあ引き受けなきゃよかったじゃん」
なんで引き受けたんだよ、と黒い人物は少女のあとを追いながら聞く。
「そりゃあ今は金欠だから…」
少女がそう言いかけた所で、おーい!と2人に向かって声が飛んできた。
声がする方を見ると、黒髪の少年と赤いとんがり帽子に藤紫色の髪のコドモが立っていた。
少女はあらと笑ったが、黒い人物はげっと嫌そうな顔をした。

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鏡界輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その⑦

扉を開けた瞬間、屋外に犇めいていたカゲ達がその物音に気付き、一斉に二人の方に振り向いた。
『まずは基本の技から行こうか。適当なカゲに拳を向けて狙いを定める。腕はまっすぐ伸ばしていた方が良いけど、最悪拳さえ向いていれば大丈夫』
明晶の指示の通りに義腕が動き、カゲの群れに狙いを定める。
『本当は直接口で言った方が楽なんだけど……まあ頭の中で唱えるだけでも良い。この技の名は』
鈑金の隙間から、光の力が可視光として迸る。
『リーチ・フィスト』
その名が呼ばれるのと同時に義腕が高速で伸長し、導線上のカゲを貫いた。
「わぁっ⁉ 伸びた!」
『まだまだこんなものじゃないよ』
再び義腕が縮み、今度は小刻みに振動し始める。
『これは少し扱いが難しいけど、多分慣れればある程度は操れるようになると思うから頑張って。そしてこの技の名は』
再び、義腕が高速で伸長する。しかし先程の直線的な軌道では無く、不定期なタイミングで鋭角から直角の角度で滅茶苦茶に折れ曲がり、周囲のカゲをまとめて打ち抜いた。
『リーチ・フィスト・ディストーション。かっこいいと思わない?』
『それについては議論の余地があるんじゃないか』
「あ、三色さんも話に参加するんですね」
『さて、この辺の雑魚は今ので大体倒せたかな。隙間が残っているうちに早く進みな』
「分かりました!」

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Trans Far East Travelogue55

倉賀野で待つことおよそ1時間,湘南新宿ライン東海道線直通の特別快速小田原行きが入線して来た。
手元の腕時計を見ながら思わず「定刻の30分遅れか…まぁなんとかなるかなぁ」と呟きながら乗り込むと嫁が「まさか、これで直接帰るわけじゃないでしょう?」と言って確認を取るので「そうだね。大宮までは行くつまりだよ。でも、大宮での接続次第だけどね。下手すると湘南新宿ラインか埼京線で直帰かもしれないし、小山に出れても友部から特急で帰らないといけなくなるかもしれないね」と返す。
そしたら、嫁が「友部から特急だと、どこで降りるの?」と訊いてきたので「時間とルート的に、柏しか選択肢は無いね。そしたら、2分の1の確率で3-1聴けるからいいかなぁ…でも、そうなると後は日暮里の接続次第さ」と答える。
それから暫くはお互いの思い出話をすることになり、気付いたら深谷、熊谷、鴻巣といった埼玉の県北有数の街を過ぎてかつて社会問題と化したかの悪名高き順法闘争で有名になってしまった上尾の駅も出て次の停車駅は大宮となった。
「アプリの列車走行位置によると、宇都宮線も遅延してて今赤羽〜浦和間を走ってるみたいよ」と嫁が言ったので「なら、大宮で乗り換えられるけど、問題は小山だな」と返す。
籠原での増結や運転間隔の関係で運転見合わせ区間に先行列車が1本も無かったおかげで30分あった遅れは10分遅れまで回復し,大宮に着いた。
それから約2分の乗り換えで5分遅れの宇都宮線快速小金井行きに乗り込み,小山を目指す。
東武伊勢崎線が隣に見える久喜、栗橋を過ぎて左側に東北新幹線の高架が見えてきたら、まもなく栃木県有数の大ターミナル,小山に到着だ。