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櫻夜造物茶会 Act 23

「油断してたみたいね」
桜色の髪のコドモはゆっくりと立ち上がる。
「さぁ、あなたもこの蔓の餌食に…」
桜色の髪のコドモがそう言いかけた所で、離れた所から声が飛んできた。
「おーい、サクラメントー」
声がする方を見ると、車の傍で若い男が手を振っている。
「撤収だってさー」
サクラメント、と呼ばれた人工精霊はマスター!と言って振り向く。
そして男の方へ駆け出した。
「マスター、帰るって本当?」
「そうだよ」
上からの命令だってさ、と男はサクラメントの頭を撫でる。
「じゃあ早く帰りましょう」
サクラ達のあ・い・の・す・へ、とサクラメントは男の腕に抱きつきながら言う。
男は分かったよ、と言って、2人は車に乗り込んだ。
そして車は走り去っていった。

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とある小説について。 No.1

「...お前か。」お前だったのか、と。
死に際に、そんな芝居じみた台詞を言うことになるとは、思ってもみなかった。
(ああ、あの時、彼奴に会っていなければ...)
ーー事の始まりは、一か月前。
俺は加藤優(かとうすぐる)、普通のサラリーマンだった。表向きは。夜には、巷で噂の義賊、「ナンバー10」として『仕事』をこなしていた。
元々得意だったpcの技術を利用して、色々なところの汚職やハラスメント事情を暴く、それが「ナンバー10」としての俺の仕事だった。