天王洲アイル(テンノズ・アイル)
種族:見た目は人間 性別:おそらく女性 年齢:ぱっと見若そう
身長:日本の成人女性の平均くらい
トレードマークは海中を思わせる青白い光(LED由来)を放つ右手の電気ランタンと腰のホルダーに何故か大量に差してある大小さまざまな種類の作図用のハサミ。持っている理由を問うたところ、無言でにこっ、てされた。多分ろくな理由じゃない。
居場所は不定。彼女がいそうだと思った場所を探すと大抵そこにいる。
趣味という程の趣味は無い。その場にいるのに自然な行動を取っている。
性格は通常時は淡泊。静かに自分のいる場に溶け込み、和を乱さぬような人格を再現する。
妖怪か何かの可能性がある。
ところで「天王洲アイル」って、Vtuberとかに居そうな字面してるよね……。少なくとも両隣の駅よりは人名と言い張れる字面してると思う。
水晶は割れた 魔女は消えた
人々は感謝した いつか消える仮初めの安寧に
フォールム本部内を1周して、あの部屋に戻ってきた。タマモは設備について逐一教えてくれたけど、様子を見ていた感じ、半分くらいは彼も初めて入った場所だったようだ。
彼が少し血のついたままの椅子に掛け、促されて私も向かいの席に座る。
「最後にここが、数ある休憩室の一つだ。最序盤でスルーした部屋は全部休憩室だな。誰がどこ使うとかは決まってねェけど、リプリゼントルは好きに使って良いことになってる」
「へー……」
「さて……施設内見学は終わったが、何か質問とかあるか?」
「はーい、ありまーす」
「何でしょうフヴェズルングさん」
「タマモせんせー、私、絵が全く描けないんですけどどう戦えば良いんですか? このガラスペンで何かを描いて戦うんですよね?」
「あー…………」
タマモはしばらく目を泳がせ、テーブルに備え付けられていたメモ帳のページとボールペンをこちらに差し出した。
「ロキお前、犬と猫を描き分けられるか?」
「…………」
とりあえずペンを取り、さらさらと2つの絵を描いてみる。なかなかに酷い出来の、辛うじて四本足の何かと分かる絵が並んでいた。
「すげェや、違いがある事しか分からねえ」
「お恥ずかしい限りで……」
「別に恥ずかしいことじゃねェよ。俺も絵はド下手だ」
そう言いながら、タマモはページをくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に放り込んだ。
「じゃあ、タマモはどうやってるの?」
「こうしてる」
ニタリと笑い、彼はガラスペンを取り出した。そのペン先からインキが垂れ、空中で一つの球形にまとまる。
「……さっきの紙捨てなきゃ良かったな。まあ良いや」
彼はメモ帳から新たに1ページ破り取り、宙に放った。そしてひらひらと落ちてくるページ片に、インキの球体、いや、弾丸を発射し命中させた。
「おー」
自然と拍手が出る。
「複雑なモン描けねェなら、単純なモンを武器にすりゃ良いんだ」
怠惰で暴力的な愛の歌
……って誰だこんなタイトルつけた奴!
あたしはフンと鼻を鳴らした。
「意味不明な奴」
さっさと奪いたいなら奪ってしまえば良いのにとあたしは呟く。
ヴァンピレスはそれを聞いてうるさい!と声を上げた。
「貴女、大人しくわらわの餌食に…」
ヴァンピレスはそう言って白い鞭を振り上げる。
あたしはもはやこれまでかと目をつぶった。
しかし鞭が振り下ろされることはなく、代わりにヴァンピレスがうっとうめく声が聞こえた。
あたしが目を開くとヴァンピレスが白い鞭を振り下ろそうとする体勢で動きを止めていた。
「⁈」
あたしが驚いていると背後から聞き馴染みのある声が聞こえた。
「穂積」
思わず振り向くと、短髪で前髪をカラフルなピンで留めた、瞳を青白く光らせた少女が立っていた。
「…”フロスティ”⁈」
あたしがつい声を上げると、彼女はこちらへ駆け寄ってくる。
「逃げよう、穂積」
「え、でも」
「さっさと逃げようか」
フロスティはあたしの手を引いて元来た方へ走り出した。
暫くあたし達は走り続け、気付くと駄菓子屋の前まで辿り着いていた。
「ここなら大丈夫だね」
駄菓子屋は異能力者の緩衝地帯だし、とフロスティはあたしの方を振り向く。
その目はもう光っていなかった。
「…雪葉、どうして」
「どうしてもこうしても、親友がピンチだったからうちが助けてやったんだよ」
あたしの言葉を遮るように、フロスティこと雪葉はあたしの顔を覗き込む。
「あんたさ、たまに悩み事を1人で抱え込む事があるからよく警戒してたんだよ」
最近怪しいと思ってたら、案の定だったと雪葉は笑った。
「別に、あんたに助けて欲しいなんて」
あたしはそう言いかけるが、雪葉は友達なら助け合うのが普通だと思うよーと続ける。
「特に親友ならなおさら」
雪葉はそう言ってウィンクした。
「…もう」
あたしは呆れたように呟いた。
〈番外編 吸血姫と竜生九子と雪の精 おわり〉
路地裏というものはアングラな雰囲気を纏っている事が多い、とよく言われる。
大通りに対して建物が密集しており空も狭く見えるし、上から入ってくる光も限られる。
だから”常識の外の存在”も当たり前に存在するのだ。
例えば、この路地裏を歩くあたしのような…
「うふふふふふふ」
不意に聞き覚えのある高笑いが聞こえたので、あたしはパッと顔を上げる。
しかし周囲を見回しても誰もいない。
一体奴はどこに、とあたしが思った所で後ろの首筋に気配を感じた。
「ご機嫌よう」
チョウフウ、と背後に真っ直ぐな棒状にした白い鞭をあたしの首筋に突き付ける少女…ヴァンピレスは言う。
自分の後ろに回っているため顔は見えないが、きっとその顔は笑みを浮かべている。
「…何の用」
あたしが聞くと、ヴァンピレスは貴女にお知らせがあって来たのと答える。
何、とあたしが聞き返そうとした時、ヴァンピレスはこう言った。
「貴女を利用するの、やめにしたわ」
「は?」
あたしは思わず振り向く。
「何で…」
「単純に貴女の事が、”彼ら”に気付かれてしまったからよ」
淡々としたヴァンピレスの言葉にあたしは…なるほどと呟く。
「あの常人と死霊使い達にあたしがアンタと繋がっている事がバレたから、消しに来たって訳ね」
あたしがそう言い切ると、ヴァンピレスはうふふふふと笑った。
「貴女を消してしまうのはもったいないかもしれないけど、どちらにせよ貴女の異能力は使わせてもらうから感謝なさい」
「感謝なんてするかよ」
あたしは思わず言い返す。
「あんた、あたしの親友の異能力を奪おうとしやがって、それを止めようとしたらその代わりにあたしに協力を持ちかけてきて…」
こんな自分勝手な奴に感謝なんてしな…とあたしが言いかけた所で、やかましい‼とヴァンピレスは声を上げる。
「特別使える訳でもない異能力のクセに偉そうな口を利いて…!」
せっかくわらわが奪おうとしてやっているのに…と彼女は身体を震わせる。
望まれて生まれてきた。
望まれてその意味を否定した。
私の未来を望んでくれた人はもういないけれど、
私の意思はかつての望みと此処に在るから。
何処に下るか決めるまで、今はまだ反抗期。
「……外が騒がしくなってきたねェ」
“潜龍神社”の本殿、その中で厳重な拘束を受けながら、種枚は祭りの喧騒を聞いていた。
「残念なことだ、私、お祭りの雰囲気は好きなんだぜ? 人間どもが心底楽し気で、慌ただしくて…………しかしまァ」
扉から視線を外し、自身を拘束する道具類に目をやる。
両手首を拘束し、大黒柱の裏を通って腕の動きを妨げる錠。両足を床面に固定拘束する枷。全身に巻かれた荒縄と鎖。無理に振りほどこうとすれば身体に食い込むよう、手足と首にきつく巻かれた有刺鉄線。怪異に対して威力と拘束力を持つ紙製の札と木札、注連縄。そして、両手と両足を貫き縫い留める、4本の短刀。
「本ッ当に、厳重だねェ。私が何であろうと、意地でも逃がさないって感じだ」
拘束を眺めるのをやめ、再び屋外に通じる引き戸に目をやると、数秒遅れて静かに戸が開いた。
「おっ、やっと出してくれるのかい? 私も祭りを楽しみたいんだが?」
「許すわけが無いだろう、鬼子め。貴様がまた逃げ出しでもしないかと巡視に来ただけだ。こちらも忙しいのでな」
尊大な態度で答えるその青年に、種枚も挑戦的に睨んで応えた。
「……しかしまあ、前に捕まえた時と比べて随分とアクセサリィが増えたな? 素敵な持て成しじゃないの」
「2週間も拘束していて、水の一滴すらやっていなかった状態から逃げられたんだ。これでも足りないくらいだろう」
「あァ、あの時はしんどかったなァ」
「……そして今回は、そろそろひと月になるか?」
「そうだねェ。さすがに空腹がキツいや」
「……化け物め」
青年はそう吐き捨て、本殿から出て行った。
・嫦娥 Jouga
年齢:不明(10代中盤くらい)
性別:女
身長:158cm
体重:身長に見合った重さ
通称:花の魔女
登場作品:なし(自分の中でボツになった作品の登場人物)
科学と非科学、人間と人外が共存する“都市”に暮らしている何でも屋の少女。
薄いウェーブがかったピンク色の長髪で、いつも白やピンク系のロリィタ服を着込んでいる。
“花”にまつわる魔法を使いこなす所から“花の魔女”と呼ばれることも多い。
魔法がかかった白い日傘を持ち歩いており、これをさすことで飛行することも可能。
何でも屋としては“都市”で起こる大小様々な事件・騒動の解決を生業にしており、“都市”に跋扈する様々な住民・勢力から一目置かれている。
元々は“都市”の中心部にある、”都市“の治安を守りそこに住む人間の権利を保障するために作られた機関“政務局”の人造人間による治安維持特殊部隊隊員のプロトタイプ。
幼い頃はずっと“政務局”のタワー内にある研究室で暮らしていたが、治安維持特殊部隊の創設に反対する“政務局”内のある派閥に依頼されたとある何でも屋によって外へ連れ出された。
“嫦娥”という名前は彼女を連れ出したとある何でも屋に付けられた名前であり、元々は“ヌル”と呼ばれていた。
このような経緯から“政務局”の関係者とはバチバチに仲が悪く、特に自分を元に量産された存在である治安維持特殊部隊の隊員とは遭遇するだけで壮絶な戦いが始まったりもする。
ちなみに彼女を引き取った何でも屋はとある仕事の最中に行方不明になっている。
〈都市〉
科学と非科学、人間と人外が共存する大都市。
かつては世界有数の大都市だったが、とある大災害で壊滅した後人間たちから隠れていた人外や非科学的存在が表に出始め跋扈するようになった。
様々な勢力が存在し、時に協力したり時にいがみあったりしながら均衡を保っている。
一応政治機関として“政務局”が存在しているが、この機関は“都市”をかつてのような人間だけのものにするための組織であり、非科学的存在を否定するが故に“都市”の様々な勢力と衝突を繰り広げている。
過去の大災害の爪痕があちこちに残っているが、人間や人外たちによって活気に溢れている。
大人には3種類いる。
汚い大人、まだ汚れていないだけの大人、汚れ切って尚諦めていない大人だ。
「今度は何⁈」
思わず声を荒げる桜音。
「いえ、すみません、少々お名前の方お話を伺いたく...」
おどおどしながら口を開く葉月。
懲りることを知らないようだ。
「.....。」
「あの、桜音様?」
数十秒の沈黙の後、桜音がようやく口を開いた。
「わかった...全部1から話すから、放課後家に来て。全部話すから。うん。だからとりあえず学校に居る間は大人しくしてて。」
流石に今回は学習したのか、黙って頷く葉月。
「クッソ負けた……人を操ることについては自信あったんだけどなァ……完璧にそっちのペースだったな」
そう言われて、少し得意げになってしまう。当然だ、これが私の『芸術』なんだから。
「それじゃあ、そっちから教えて?」
「……俺の芸術は…………何て言えば良いんだろうな。……敢えて言うなら、そうだな、『扇動』が近いかな。芸術ってのは、人の感情を揺さぶり動かすものだろ?」
頷き、続きを促す。
「言葉で、リズムで、テンポで、環境で。あるものと使えるもの全部使って、人の感情を動かし操る。それはもう芸術だろ」
「……言われてみればそんな気がしてきた」
タマモの表情がぱっと輝いた。
「だろー? あの野郎はそれが分からねえから駄目なンだよ。顔料か旋律が無きゃ芸術じゃねェと思ってンだぜ?」
「それは良くない」
これは間違いなく私の本心だ。私の芸術も、そういうものだから。
「で、ロキ。お前はどういう『芸術』を使うんだ?」
「んー……『展開の演出』、かな。ボードゲームなんかだとやりやすいんだ、ルールで縛られてるから。ゲームっていうのは物語の創出だから、より面白い展開を描くために勝敗を捨てて『人』と『運』、『場』を都合のいいように操作する」
「なァるほどォ……道理で負けたわけだ」
「お褒めに与り光栄至極」
「ハハッ、くるしゅーない」
犬神ちゃんに助け起こされ、こちらからもぶつかってしまったことを謝罪する。
「良いよそんなの、こっちも不注意だったし。そんなことよりさぁ、キノコちゃん知らない? キノコちゃんったらひどいんだよ? 先月のデート、すっぽかしちゃうんだもん」
犬神ちゃんから見ても、あの会合は『デート』扱いなのか。
「はぁ。……あ、いや、自分もここ1か月くらい見てなくって」
「そっか。まあ良いや。たしか今日、お祭りでしょ? キノコちゃんもお祭り好きって言ってたから、多分来てるよね?」
「だと良いんですけどね」
「じゃ、早く行こう!」
「そうですね……ん?」
犬神ちゃんは自分の手を引いて神社の方に向かおうとしている。自分が足を止めていたせいか、こちらに振り向いて小首を傾げた。
「どしたの」
「いや、なんで引っ張ってるのかなって……」
「だって君、キノコちゃんのお気に入りなんでしょ? なら一緒に行こうよ。キノコちゃんにデートに来なかったこと、文句言ってやろ」
「いや、自分は別に……」
犬神ちゃんの勢いに押し負け、結局彼女に連れられて神社の方へ行くことになった。
私のつたない文章で伝わるか分かりませんが
勇気を出してみます。
あなたがいてくれたから私は歩んでこれた
笑顔になれた
有り難う
こんなにあなたのことばかり考えていて
こんなに心が動いているってのに、
この気持ちが一遍の詩にもならないこと
私の手有り難う。物を掴んでくれて
私の目有り難う。大切な人を写してくれて
私の足有り難う。遠くまで私を運んでくれて
私の脳有り難う。大好きな人を想わせてくれて
どうも、テトモンよ永遠に!です。
先月末、3月29日をもちまして企画「Daemonium Bellum RE」は一応終了いたしました。
ご参加していただいた皆さん本当にありがとうございます。
今回の企画は2年前に開催した企画「Daemonium Bellum」のリバイバル版みたいな企画でした。
「Daemonium Bellum」の方は要項の投稿時期のミスで多くの人の目に止まらなかったこと、その時企画に参加する気のあった人が少なかったこと…などからほとんど参加者の出ずに終わりました(そもそもぼくの企画は参加者がほとんど出ないのがデフォルトなんだけどね)。
この時の教訓によってそれ以降の企画は月初めに要項を投稿するなどの工夫を凝らすようになりましたが、この企画の世界観だけなんだか不完全燃焼な感じがしてたんですよ。
それで「Daemonium Bellum」の開催後に自分の中で追加された設定などを盛り込んだ上でリバイバルすることにしました。
事前の企画アンケートで2番目に票を獲得していたのである程度参加者は出てくるだろうと見越してはいましたが、その前に開催した企画はアンケートで1番得票率が高かったのに自分以外に2人しか参加者がいなかったので開催前はめっちゃ不安でした。
でもいざ蓋を開けてみたら自分以外に6人(タグの付け忘れ含む)も参加者が出ていてびっくりしました。
やはり天使とか悪魔ネタは書きやすいんですかね…?
設定とか盛りすぎてぼく史上最高難易度の企画になってしまいましたが、参加者の皆さんが楽しんでもらえたら嬉しいです。
という訳で、長くなりましたが皆さんご参加ありがとうございました。
今も企画「テーマポエムを作ろうの会」を開催していますし、5月には新たな企画の開催も予定しております。
今度は鉄道モチーフですので、参加してみたい方は今の内に日本の鉄道路線について調べた方がいいかも…?
てな訳で当企画はこれで以上になります。
あ、でも遅刻参加・投稿はいくらでも待ってますよ(笑)
では、テトモンよ永遠に!でした〜
「ところで、『神様』はまだ引きこもってんのか」
アーサーさんの言葉にリリィ様は困ったような顔をした。
「出てきそうにもないのよ。私と話すらしてくださらないし」
「へー終わってんな」
「喧嘩売ってる?」
「四枚羽も正直思ってんだろ、このまま出てこなかったらまずいって」
「…なんで?」
「んー…神だろ?天使のまとめ役っつうか親?みたいなもんじゃねぇの?」
僕はまたお二人の話を聞いて立ち尽くすだけだった。この人たち結構認識甘いんだ…。かくいう僕もよく分からないのだけど。
「確かに一理ある…?のか…?」
「神引きずりだしたら怒られっかな」
「あんたが行ったら怒られるじゃ済まないわよ。でも一回くらい無理やり出した方が…」
脳筋だなぁ(小並感)。お二人がこちらを向く。
「お前はどう思う?」
「やろうと思えばやれると思うのよ」
「…え僕ですか」
…僕の立場が色々とまずいかもしれない。
「あの野郎……ガノっつーんだけどなァ、アイツが俺の芸術性を否定してきやがった。俺の才能が芸術でねェならなんで俺はリプリゼントルやってるんだって話だよ」
「へー。ガノってのは下の名前? 苗字? 偽名?」
「たしか苗字だった気がする」
「ふーん……」
急にタマモが立ち止まった。私もそれに倣って足を止める。
「そうだロキ、お前は何の才でリプリゼントルになったんだ?」
「そういうタマモは? 論争が生えてくるような才能なの?」
「…………」
「…………」
数秒、無言の時間が続き、互いに睨み合う。いや私の方は単に素で目をあまり開かないだけだけれども。彼の方は知らない。
「なあロキ、じゃんけんしようぜ」
「良いよ。何賭ける?」
「勝った方から才能発表ってことで」
「分かった。パー出すね」
開いた左手を彼の前で振ってみせる。
「…………」
彼は随分と悩んでいたようだったが、やがて意を決して握り拳を構えた。
「いきなり『じゃんけんほい』でスタートな」
「了解」
「「じゃーんけーんほいっ」」
パーを出して無事に勝利した。
こんにちわ!!なにえもじです!初めてポエム掲示板に書き込みます!
辛い時って独りに感じるよね。自分以外のみんなが幸せそうで、悩みなんてなさそうに見えて。でもさ、みんな明るそうに幸せそうにしてても心のどこかに孤独感と寂しさを抱えながら生きてるから。あなたは独りじゃないよ。あなたはみんなに支えられて生きてるんだよ。そしてあなたの存在もみんなのことを支えてるし救ってるよ。1人はいいけど独りになるのは辛いよね。大丈夫だよ。僕がいるから。スクールオブロックはいつでもあなたを支えてるよ。いつでも救ってあげるよ。だからなんかあったらスクールオブロックに来て。あなたの声を聞けるだけで僕は幸せです。
日曜日、午前10時。『潜龍冬祭り』の開始時刻だ。
この祭りでは神社敷地内だけでは無く、その前を通る道路でも交通規制を行い、広範囲に渡って出店が並んだり、神輿を担いだ人々が練り歩いたり、神社敷地内では神楽が行われたりする。
自分の普段の祭りの楽しみ方を振り返ってみると、大体は出店で適当に食べ物を買い、14時に始まる神楽を見て、その後は何をするでも無く祭りの雰囲気を味わうためにうろつく、といった感じだったか。
今回も同じように動くとしようか。そう思いながら自宅を出る。
昔から霊感……いや、正確には『霊感』ではないんだったか、人外のモノが視える体質だったわけだけど、祭りの日は何故か『そういったモノ』が多く、特に上空などは絶対に見てはいけない状態になっているものだから、楽しい気分とは裏腹に目線は下がっていくという、何とも不思議なことになる。
今日もアスファルトに熱い視線を送りながらやや急ぎ足で歩いていると、前から同じく急ぎ足でこちらにやって来る人に気付かず正面衝突してしまい、しりもちをついてしまった。
「わぁごめんなさい! ……あれ?」
向こうの反応が不自然だったので顔を上げる。そこには見覚えのある少女の姿があった。彼女の肩に憑りついている怪異存在の姿も合わせてみれば、間違いなくあの子だ。
「たしか……犬神ちゃん?」
・ナハツェーラー Nachzehrer
年齢:秘密(数百年単位)
性別:なし
身長:156cm
体重:そんなに重くない
一人称:俺
通称:ナツィ、黒い蝶(二つ名)
登場作品:造物茶会シリーズ(第5弾までまとめてあるので気になる方は参照してみて)
「造物茶会シリーズ」の一応の主役にしてアイコン的存在。
面倒くさがりなツンデレだけど、その強さは折り紙つき。
その昔、高名な魔術師“ヴンダーリッヒ”によって生み出された人工精霊にして使い魔である。
容姿は黒髪黒目でだいぶ地味なようにも見えるが、なぜかゴスファッション(スカートは穿かない)ばかり着ているため目立つっちゃ目立つ。
あと足元は黒タイツに厚底のショートブーツないしメリージェーン(ストラップ付きパンプス)を合わせていることが多い。
露出が嫌いなので前述のように黒タイツを着るだけでなくいつも黒い革手袋をはめている。
髪は短めだがくせっ毛で跳ねている。
紅茶党で実は甘党、そんでもって嫌いなものは人間。
しかし前日譚「緋い魔女」「緋い魔女と黒い蝶」では主人であるグレートヒェンにデレてたりするのでものすごく人間が嫌いって訳でもないのかもしれない。
右手に仕込まれた術式によって蝶がかたどられた大鎌を生成したり、背中にコウモリのような黒い翼を生やして飛んだりできる。
魔術(物理)っぽい所はある。
普段は仲のいい(?)かすみやキヲン、ピスケス、露夏と共にかすみの主人が経営する喫茶店の2階の物置に溜まってお茶している。
キヲンにはめちゃくちゃ好かれているし、隠したがっているけどかすみのことは好き。
逆にピスケスや露夏のことが気に食わない。
マスターの言う通り、先に帰り、アリスの使っていた魔術について調べてみた。
どうやらアリスは、遠隔操作の魔術を生き物にかけて利用していたらしい。
本来遠くから伝言を伝えたり動かす為の魔術で、人形などが相場であり、生き物にかける事はない。
まあ、できなくはないのだが、魔術探知、魔術解除などをされるとかけられた生き物は死んでしまう。
更にその死体は呪詛化、所謂呪いの類を振り撒くことになる可能性が高い。
今回呪詛化しなかったのは幸運と言える。
「に、してもなぁ...」
アリスは結局何がしたかったのか。
そもそもなぜマスターを狙っているのか。
どんな人物かすらわからないからどうしようもないのは重々承知だ。
でもやはり、少し位痛い目に合わせてやりたい自分がいる。
兎に角、アリスについて調べてから...
.....
「ただいま〜...って、寝てるのか...お疲れ様。ま、アリスが手加減してたのかも...どちらにせよ、無事良かった。」
to be continue
・岩戸青葉(イワト・アオバ)
年齢:13 性別:女 身長:小学生料金でバスや電車に乗れるくらい
初出はエピソード6。名乗る機会が無かったので「少女」で押し通さざるを得なかった子。
人外のモノに好かれ、人外の異能の才を持つ女系一族“岩戸家”の当代末子。人外の才能や霊感は全く無く、かといって姉や両親、親族からそれを理由に邪険に扱われることも無く、むしろ能力など関係無いとばかりに深い愛情を受けて育ってきたが、その愛が逆に彼女の劣等感を刺激した。
「家業を継ぐ」という観点においては明確に劣っている自分がその愛情に足ると心の奥底で信じ切れず、それを受けるに相応しい人間になるべく、夜な夜な愛刀たる〈薫風〉を手に家を抜け出しては、怪異相手に武者修行を繰り広げている。
幼い頃には自分の無能ぶりに絶望し引きこもったこともあったが、現在は〈薫風〉と暴力性(殺意)、身体能力という希望があるため、かなり安定している。
ちなみに家族や親族に八つ当たったことは一度も無い。彼らが悪いわけでも無ければ、そもそも自分の能力の低さが理由なのにその能力がある人間に当たれるわけが無かったので。
〈薫風〉:岩戸家に伝わる日本刀。刃渡り約55㎝。全長約80㎝。各代で最も力の弱い子が怪異から身を護るために受け継ぐ。霊体にも干渉し、怪異存在に特にダメージを与えることができる。また、所有者であるというだけでその威光が弱い怪異を寄せ付けず、所有者の受ける霊障を吸収する。近代以降、実際にこれを武器として用いる継承者はいなかった。
「名前を聞いても?」
廊下を歩きながら、少年に尋ねた。
「あ? ……タマモノマエ。これで」
「偽名?」
「通り名といえ」
「リテラシーがつよい」
「そういうお前は何てンだよ」
「…………」
自分だけ本名を明かすというのも何だか癪だ。適当な名前を名乗ることにしよう。とはいっても、何と名乗ったものか……。
スマホを取り出し、検索エンジンで軽く調べ、スマホをまたポケットにしまう。
「フヴェズルング」
少年もといタマモノマエはスマホを取り出し、しばらく何かを調べて、またスマホをしまってこちらに向き直った。
「ロキか」
「うん」
「じゃあロキって呼ぶぞ」
「じゃあタマって呼ぶね」
「タマはやめろ猫っぽい」
「じゃあタマモで」
「なら良し」
再び歩き始める。……そういえば。
「なんでさっきはあの人殺しかけてたの?」
「あー……あれな。あの時は助かったよ、おかげで殺人を犯さずに済んだ」
自分が住む町には“潜龍神社”の愛称で知られる古い神社がある。正式名称は別にあるのだが、中世の頃だかに、然る天皇家の後継者を政治的な争いから匿ったとされ、その逸話からこの異名で呼ばれるようになったとか。
そんな潜龍神社で年に4度行われる祭事のうち、12月上旬に執り行われるのが、『潜龍冬祭り』だ。その年1年の厄を払い、清々しい気持ちで新年の準備に臨めるようにするための祭りだという話を、小さい頃に大人から聞いた覚えがある。
「そういえばもうそんな時期か……。せっかく思い出したことだし、行ってみようかな……」
自分が通っていた高校は、地域ではそれなりに名の知れた進学校で、高校2年の冬から大学受験のためにほぼ勉強漬けだったし、大学に入ってからも新しい生活について行くので精いっぱいだったから、一昨年の『冬祭り』より先の祭りには一度も行っていない。
「ええ、お祭りは楽しんだ方が得ですよ。あの人……師匠……種枚さんも毎回行ってるし、多分会えるんじゃあないですか?」
「そうだと良いね」
最後に鎌鼬くんと軽く別れの挨拶を交わし、再び家路についた。
どうも、テトモンよ永遠に!です。
毎度お馴染み「造物茶会シリーズ」のあとがきです。
今回もお付き合いください。
今回のエピソードは主人公がかすみみたいなお話でした。
割と造物茶会シリーズのお話(構想中のものも含む)の中では珍しい、”ナツィが中心じゃない“物語でしたね。
一応このシリーズにおいてナツィは”主役“ということになっていますが、スーパー戦隊シリーズみたいに主役以外の主要キャラが中心になるエピソードがあってもいいということで作りました。
これからもこういった、“主役以外のキャラが中心になる”回が出てくるので、どうぞ楽しみにしていてくださいね。
という訳で、今回は短めだけどここまで。
「造物茶会シリーズ」第7弾(絶賛執筆中)をお楽しみに。
あと来週から「ハブ ア ウィル」の記念すべき20個目のエピソードを投稿し始めます。
昨日完成したての新エピソード、楽しみにしていて…なのですが、このエピソードを語る上で必要だろう番外編を今週末の土日に投稿しようと思ってます。
こちらもお楽しみに。
ではこの辺で。
現在開催中の企画「テーマポエムを作る会」への参加も待ってます!
それでは、テトモンよ永遠に!でした〜