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LOST MEMORIES ⅨⅩ

正直、近づくなと言われても無理な話である。瑛瑠が気にしているのは、今後どう対応していくべきかということ。
少し思うところがないわけではないが、好い人であるという感想は変わらない。今、気まずくなりたい人物ではない。
「暗に牽制するなんてことはできますか?」
これまた無茶なことを。
瑛瑠の表情を見て苦笑いのチャールズ。
「1度、断ることを覚えましょう。ひとりがいいと伝えるのです。図書室へ行くときなんてベストじゃないですか。傍に居させてくれる存在を1度離れ、あくまでクラスメートを振る舞う。
そうですね、お嬢さまは正直ひとりでやっていけるのはわかりますが、女の子の御友人がいれば心強いと思いますよ。まあ、作ろうと思って作るものではないですが。」
友人とは。考えたこともなかった。
自分は驚くほど大人に囲まれた生活だったのだと自覚する。またもや難題がつき出された気分だ。
「チャールズにはいるんだよね?そう呼べる存在。」
「はい。」
久しぶりに柔らかく微笑うチャールズを見た気がした。

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