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爆弾 【2】-1

 それから十数分後のことである。一行は休息を終え、車に戻ってきた。そのとき、一行の車の横に空いていたスペースに、一台のバンが勢いよく滑り込んできた。ちょうどその横にいたDは危うく轢かれそうになった。
 何処を見て運転しているんだ、危ないだろ、と声を荒げるも、その車の主は何食わぬ顔で車を降り、行ってしまった。
 ますます不機嫌になりながら、Dは悪態をついて車に乗り込んだ。すると、Sがドアを半開きにしたまま、車の横に立って眉を潜めているのに気がついた。
「どうした、さっさと乗らんか」
 とDが車の中から未だ不機嫌そうに言うと、
「あの、何か変な音がしませんか」
 Sが怪訝な顔で言った。
 少し耳をすませてみると、なるほど、確かに微かな電子音のような音が聞こえなくもない。Dは表情を少し不安そうに変え、
「一体何の音だ」
 と言った。Sはゆっくりと車を一周して、辺りをきょろきょろと見回し、それからもう一度ぐるりと回って言った。
「この車からです」
「何ッ」
 そう叫ぶと、Dは慌てて車から飛び出した。
 二人は運転手と三人掛かりで音の発生源を探した。そうして一分もたたない頃、運転手が車の下を覗き込んで、
「ありました、多分これです!」
 と叫んだ。

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