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LOST MEMORIES CⅦⅩⅤ

静かで落ち着いたその声は、瑛瑠を離さない。
「瑛瑠さんのこと、避けてるか避けてないかでいえば、避けてるのかもしれない。」
教室でも聞いた言葉だった。
「ぼくが原因で瑛瑠さんを困らせてたことを知って、恐くなったんだ。近くにいると、困らせると思って。」
哀しそうに微笑む望。
窓から、暖かい光が入ってきた。望の視線から解放されふと外を見ると、夕焼けと呼ぶにはまだはやい赤みがかった青い空が見える。
瑛瑠の視線の先に気づいて、望は先程より柔らかい声で訊ねる。
「綺麗だね。帰ろうか。」
さすがに驚く。まだ望はここへ来たばかりである上に、話も始まって間もない。何か理由があってここを指定したのではないのか。
口ほどにものを言う瑛瑠の澄んだ眼に望は苦笑する。
「ここを指定した理由は3つ。1つ目は、人が少ないから他人の目を気にしなくて良いということ。2つ目は、待ち時間が暇にならないような場所であること。最後が。」
一度切ったことで、瑛瑠の眼は再び望を捉える。
「瑛瑠さんが、何について調べているのかを確かめるため。」

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