赤い菊
君の右手にはしおれた一輪の花。
何でそんなの持ってるんですか、ピュアですねぇ。
君は私の存在に気づいたのか、少々慌ててから
「これ、やる。そこで拾った。」
と下手くそな嘘をついた。
拾ったわけないでしょう。そんな土まみれで
しょうがないなあ。
それには触れないでおいてあげるよ。
「なあに?これ。」
君は一瞬迷ったように、結局
「菊。」
と答えた。
なぜに菊?しかも赤…
不思議すぎる
「なんで?」
君はそっぽを向いて
震える声で言った。
「ねぇ、知ってる?赤い菊の花言葉。『あなたを愛しています』なんだって。…だから、やる。」
そっぽを向いていたけれど君の耳は真っ赤だったよ
「そこは、バラじゃないのか!笑」
王道をいかないのは君のいいところだと思うよ?でもこれは照れ隠し。
秘密だけど。
「あっっ!その手があったか!!」
でもいいよ。ありがとう。嬉しい。
なんて、言えないからせめて、
精一杯の愛を込めて
「赤い菊の押し花なんて素敵じゃない?」