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お薦めの本 其の5

今回は、瀬川貴次さんの「ばけもの好む中将」です。舞台は平安時代。化け物の類が苦手な中流貴族の右兵衛佐宗孝が、化け物話が大好きな名門貴族の左近衛中将宣能に連れられて、鬼の噂の正体を追う・・・というような感じのあらすじです。登場人物の設定が面白かったり、序盤から終盤につながる伏線があったり、平安時代なのに現代のネタが入って来たりと、様々なジャンルの要素が入り交じった小説です。本当に面白いので、是非読んでみてください。

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香月日輪

私は昔から香月日輪さんが大好きなんです。
「妖怪アパートの幽雅な日常」シリーズ、「ファンム・アレース」シリーズをはじめ、香月さんにしか描けないストーリーや言い回し、どこか人間臭さのあるカッコつけすぎない登場人物に引き込まれ、一日に20冊の勢いで読んでしまいました。今でも度々読み返し、感動します。
香月さんは他界されてしまいましたが、作品はいつまでも色褪せません。
私はきっと、香月さんの作品をいつまでも読み続けます。

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7日間の幽霊、8日目の彼女

五十嵐雄策さんの「7日間の幽霊、8日目の彼女」という小説があります。
普段僕は小説で泣くことは少ないんですが、この作品には珍しく泣かされました。
是非読んでみてください。99%泣きます。

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ヌーナの音に18

「ああああああああ!」
ヌーナは叫んでいた。自分の体内で蠢く何かを強制的に引きずり出そうと必死だった。それに伴って段々と裏切られたときの感覚が蘇ってきた。信じていた人に突き放された、絶望の感覚が。命を手放したくなるような、何もかもが嫌になるあの感覚が。
ヌーナは泣いていた。喉にヒリヒリするような痛みがあった。三人の女性は何も言わずにヌーナを見ていた。
「私は、死んだんですね」
分かっていたことだ。イチローに会ったときから、そんな気はしていた。
「正確に言うと、死にかけだね」
カシユカがハンカチを手渡した。ヌーナは軽く頭を下げた後それで涙を拭った。花柄のハンカチからはアロマオイルの香りがした。それは夏の川辺で眺める星空のように、奥行きのある香りだった。
「ちょっと長い説明だけど、聞いてね。魂は旅をしてるの。貴方が元々いた世界と、この世界と、そして貴方が今から行くかもしれない世界。本当は名前とかないけど、今は順番にx、y、zって名前にしとくね。貴方はxにおいて自殺を試みた。本来肉体がxで死んだら魂はyに行くの。でも、ここはz」
「魂の逆走ね」
ノッチの説明にアーチャンが口を挟んだ。
「そう。私達はxでの人生に未練がある人をzに連れてきて、その人達の今後を決めてもらう。xかyかzのどこに行きたいか。いや、というよりは、xでやり直したいかやり直したくないか、かな」
「私に人生をやり直させることが目的なんですか」
ヌーナの言葉は自分で思った以上に冷たかった。
「勿論、そうあってくれたら嬉しいけれど、貴方の決断に私達がとやかく言う権利はないから」
「多分、戻らないと思います」
ヌーナはノッチの目を見て言った。
「私、好きだった人に、ずっと味方だと思っていた人に裏切られたんです」