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見えざる証言③

「あ、あの。何ですか?今の・・・」と真崎。
「ん?ああ、今の?あれは洋佑の癖なの。いつも何かをしていると頭の中で将棋の詰みを考え始めちゃうのよ」
「そんなことできるんですか?」
「将棋に熟達すればね。あ、当たり前だけど私は無理よ」
「す、すごいですね・・・」
「ま、一応注意しておきますか。洋佑! 声なしで! 声が出てるよ!」
「げ、出てた? すみません」
「あの、洋佑っておっしゃっていましたけど、お二人の関係は?」
「ふふ。あなたが想像しているような関係よ」
「あ…。そうですか…」
「さて、前置きはこの辺にしておいて、そろそろ本題に入りましょ?多分もう少しで紅茶もできるだろうし」
そう言ったのと同時にティーポットとソーサー付きのティーカップ、加えてシュガーボウルをお盆に載せてやって来る瀬山の姿が目に入った。
「じゃ、注ぎますね」と言って瀬山はミルクが入ったティーカップに紅茶を9分目くらいに注ぎ、二人の目の前に置いた。
「ありがとうございます」
「ありがと」
「お代わりがありましたら遠慮なくどうぞ」
そう言うと、瀬山は部屋の隅に置いてある椅子に座って、本を読みだした。
「冷めないうちに飲んじゃって。あんな変な人だけど、美味しい紅茶を淹れるのにかけて彼の右に出る人はいないから」
「誰が変な人だって?」
「おっと、聞こえてたのね」
「いただきます。…美味しいです」
「そうですか。なら良かった」
「じゃあ、そろそろ始めますか。事件の事を話してもらえるかしら?出来るだけ細かく」
「は、はい」
そう言うと真崎は深呼吸をして、1週間前の忌まわしい記憶を語りだした。

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久しぶりに

皆さんお久しぶりです。
以前面白いアフレコ教えて下さい!
と言ったものです。
実は最近掲示板来れてなくて今からオススメされたアフレコ消化しようと思います!!

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死神の浮力

伊坂幸太郎さんの作品です
死神が、対象となった人間の生死を決めるために、その人を調査する話です
死神目線で描かれる人間の日常が、奇妙さと、不思議さで溢れています
普段、意識することのない「死」について考えさせられます どれほど大きいのか、重いのか
自分にできることは、「今」を精一杯生きること

自分のところに、死神は来てほしくないです

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ヌーナの音に20

あの日の言葉は耳にこびりついて離れない。自分の意思とは無関係に、何度も何度も再生された。
お前、俺のこと好きなの?気持ちわりい。
クラスを包む嘲笑、罵倒。どうして。
ヌーナには分からなかった。自分がここまでの仕打ちを受けなければならない理由が思いつかなかった。
ただナイフのように鋭く尖ったその悪意は渚の心を否応なく傷つけた。心からは血が流れた。比喩ではなく、本当に自分の命を構成する要素が流れたのだ。生きる気力が流れたのだ。ただ見えないだけだ。見えないから、事の深刻さが他人には理解できないだけだ。
「他の人からしてみれば、くだらない理由なのかもしれません。たったそれだけで死ぬのかよって。でも私には全てだったんですよ。大袈裟に言ってるんじゃなくて、そのときは、その人が私の全てだったんですよ」
浩太が味方ではなくなったあの世界に戻ろうなどとは思えなかった。後悔はしていない。
しかし、途方も無い虚しさに押し潰されそうだった。全く空虚な人生だった。何も無い。生きてて良かったと思ったことなんかない。死にたいといつも思っていた。日常の中で巡り合う些細な嬉しい、楽しい出来事も一応はあったのだろうが、それらは余すところなく虚無感につるりと呑み込まれ、思い出そうとしてもその記憶の片鱗を掴むことができない。息苦しい、辛い感情ばかりが記憶を占領している。
でも、それで良かったのだ。この先生きていたってどうせ一人なのは変わらないし、いいことなんか起こらないのだから。ここで終わった方がマシだ。
そう自分に言い聞かせた。これが最善の策だ、と。
そう、言い聞かせたかった。
「どうして…」
ヌーナは嗚咽した。全てのことから目を背けたかった。
その夜、渚は夢を見た。