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漫画を読む。〈上〉

漫画を買った。
去年末に刊行されて以来の最新巻。全体では第7巻目の、待望の一冊。11月には最終回を刊行予定という発表があり、その前巻となるこの作品を僕はこれまで以上に丁寧に読もうと決めていた。終わってしまうのは寂しいけれど、この素晴らしい世界の行く末を見届けるために。
ページをめくるたびに変わる主人公たちの表情、言葉、風景、心情。表紙を開けば、数ヶ月前に読んだこの世界の続きがみるみるうちに蘇っていった。そういえば彼女は、彼は、こんな人で、こんなふうに笑って、こんな悩みがあって……。そして新しい情景が、心の変化が物語を加速させていく。あああってほしい、こうあってほしいという読者の願いが、ページをめくる手を止めない。作中、誰かが言葉を発するたびに、僕の心はジェットコースターのように揺さぶられる。心臓が高鳴る――。
告白の返事をするシーンがある。長い間隣にいて自分の心を押し隠してきたけれど、一歩踏み出して告白した、その返事の。しかし相手には好きな人がいて。ページを、今度はめくることができなかった。その答えを知りたい、聴きたい! ……そうは思うのに手が止まった。見たくなかった。次のページへの焦がれる渇望はあるのに、知ってしまいたくないと思った。彼女の運命は薄々分かっていたから。作者を憎んだ。なぜ次のページに、その残酷な運命を一つに載せてしまうのか。でもやはり開かなければなるまい。もともとそれ以外の選択肢は用意されていないのだから。呼吸が、鼓動が更に速くなっているのがわかる。そして――。

  • こういうのもいいかなって……。
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