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漫画を読む。〈下〉

読み進めて、漫画の非情なことに気づいた。左手で抑える紙の、詰まりはページが進んでいくのが感覚として分かってしまうということだ。まだ、この問題はまだ解決しない、もっとページ数が必要と急かされるような気持ちになるが、しかしそれが、それこそが紙媒体の良さだとここにきて実感することとなる。デジタルにはない数的感覚が直に脳信号として送られ、それはそのまま読者に今巻の終わりが近いことを嫌が応にも予兆させる。それに気づいたときの登場人物たちの行動の緩慢さといったら! まだ知りたい未来があるのにそれを知ることを許さない彼女らは、しかし丁寧な描写で僕を惹きつけてやまない。ここに好奇心と終わることの焦燥が混ざり、そこに彼女らの繊細な感情を見たときの儚さは言葉にならない。渦巻くものは、それはまがい物のはずなのにたしかな感情として僕に去来するのだ。まだもっと見ていたい。この世界を。ずっと続いてほしい。しかし登場人物たちはこの七巻までの中で大きく変わった。変化はやがて、1つの終点へと帰結する。その後を知りたい、そう思うと同時にそれを知り得るのは最終巻だけだという鮮やかな絶望が腹の底を焦がす。
読み終わったあと、深く長く息を吐いた。長い葛藤がきっと、物語をさらに面白くするための重要な役なのだろう。次巻、最終回。11月。散々寂しいとか言っておきながら、結局今から楽しみで仕方がない。

  • 本の購入報告とかお薦めとかもいいけど
  • こういうのもやってもいいと思ったので
  • やりました(キリッ)
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