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ムーンライトステーション #3

前回の続きです。知らない方は検索してくださるとうれしいです!ではどうぞ!!
 僕はチラッと花火を見て言った。
「何って、花火の音だよ。横浜でやってるんだ。…見にいく?」
女の子はコクリとうなずくと黙って僕についてきた。
 会場にもよってみたけれど、やはり混んでいたから近くの工事現場に行った。
「ほら、ここだよ。気をつけて入って。だれかに見つかるとヤバいから。」
女の子は看板にちらっと目を向けて、立ち入り禁止って書いてる…とブツブツ言っていたが、入ってみると案外楽しかったようで、始終笑顔で花火を見ていた。
 花火が終わり、「気を付けてお帰りください」のアナウンスが聞こえてきた。僕が「そろそろ帰ろう」というと女の子は急にポロポロと涙をこぼした。女子の涙に弱い僕は思わず女の子の肩に手を置いて聞いた。
「どうしたの?僕、何かまずいことした?」
女の子は首を振って小さな声で呟くように言った。
「私には、帰る場所がないの……」
ドキッとした。自分の状況と似ていたから。
 その子の力になりたいと思った僕は、女の子にうちの部屋を貸してあげることにした。
「狭い家だけど、自由に使ってよ。」
「ありがとう……」
女の子はそういうと、恐る恐る中へと入った。次の日、機関車のあった場所を見に行ったが、何事もなかったかのようにサラリーマンがせわしなく行き来するだけだった。
ーあれから二度目の夏が来た。

今回はここまで!感想&アドバイスいただけるとうれしいです!!

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