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ムーンライトステーション #6

前回の続きです。知らない方は検索してもらえると嬉しいです。ではどうぞ!
 そのあと二人で他愛もない話をしながら朝食をとり、皿洗いを当番の僕が済ました。ガムを食べながらソファーでテレビを見ている君に、意を決して言った。
「ちょっと、話があるんだけど」
君はテレビを消して、そこにあったガムの容器を僕の方に向けると、「何?」と言って首を傾げた。僕は首を横に振って軽く断った。
「昨日の焼鳥屋でのこと、覚えてる?」
「なんのこと?」
君はそう言ってソファーに座り直した。僕は少し前のめりになって声を大きくした。
「『帰りたくないよ』って、なんのこと?」
君は目を丸くして小さく「えっ?」と声を漏らした。その後、長い沈黙が流れ、時計が時間を告げる重低音を鳴らしたころ、やっと意を決したように言った。
「酔った勢いで言っちゃったんだね。もう、君には全部話すよ」
 それから、君は自分のすべてを教えてくれた。
 あの時花火に驚いたのは初めて見たからだということ。
 あの汽車と君は月から来たということ。
 そして、君はかぐや姫の生まれ変わりだということ。
 僕はその話を息をのんで聞いていた。最後に君は困ったように笑いながら言った。
「それとね、これはこの間知ったんだけどね、もうすぐ、あの汽車が迎えに来るの。私、帰らないといけない。今日の夜12時には出発するんだって。もう、ここには戻ってこられないの」
僕はガバッと時計を見た。まだ昼の11時、あと十三時間もある、立ち上がると、泣いている君の手を取った。
「行こう」
僕は財布をつかみ取り、君の手を引いて駅へと走った。
今回はここまで!

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