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ムーンライトステーション #7

前回の続きです。知らない方は検索してもらえるとうれしいです!
……ちょっと読んでいただく前に一言。この第七話からもうほとんど原曲とは関係ありません!ご理解の上読んでください笑ではどうぞ!
 -ザザーンー 規則正しい波の音が静かに僕の耳に入りこんでくる。頬をなでる潮風が心地よい。熟しすぎた蜜柑のような夕日がクルクルと沈んでいく。
「海……?」
背後から声がした。
振り向くと夕日色の君が、この前プレゼントした麦わら帽子を押さえながらこっちに歩いてくるところだった。
「うん。言ってたじゃん。電車で海にでも行こうかって。思い出は多い方がいいでしょ」
君はクスっと笑って言った。
「にしても、急すぎるよ。財布の中身も確認しないで出てきたでしょ。それに、ここ長野だよ。あと八時間もしないうちに私、行かなきゃいけないんだよ」
そんなことは分かってる。だからこそ、来たんだ。
 「僕はこの夕日に何度も助けてもらってる。この近くに僕の実家があるんだ。僕はどうしようもなく悩んだ時、三時間かけて東京からここまで来ていた。第二のふるさとだよ。本当の実家に帰れなくたって、この夕日が僕を支えてくれた。背中を押してくれた」
話ながら、目に涙がたまっていくのが分かった。
「だから君にも、この夕日をどうしても見てほしくて。君の心の支えになるかは分からないけど、君の、月の次のふるさとにしてほしいんだ。君と離れるのはとてつもなく辛い。でも、ここが君のふるさとなら、僕は、いつか帰ってきてくれると思えるんだ。ただの自己満足だってことはわかってる。けど、最後のわがまま、きいて」
そっと顔をあげると、もうほとんど沈んでしまった夕陽をバックに、君は涙を流して微笑んでいた。
「あのね、月からもね、太陽が見える時があるの。海はないけど、君と同じ太陽、第二のふるさとにするね」
今回はここまで!

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  • 長野を出してくれて嬉しみが深瀬先生!!
    やっぱりめっちゃ面白い!!将来の文豪確定だな(*´ڡ`●)
    海が出てくるとやっぱエモい感じがでてくるね〜

    で、海の描写は男の子の幻覚?ここだけ理解できんかった…