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マーメイドラプソディー #1

こんにちは!今回は、龍璃ちゃんにいただいたリクエストで「マーメイドラプソディー」をベースにして小説を書いてみました!第4弾です☆彡ではどうぞ!!
           —序章―
 -昔々、ある所に、それはそれは美しい人魚姫がいました。コバルトブルーの髪は軽くウェーブがかかっていて、差し込む朝日に照らされ、海底に落とされたガラスのように、輝いていましたー
 深い海の底は、人間たちが思っているよりずっと繊細で、美しい。
 「自分が美しい光景の一部であることに酔いしれ、あたかも、その限りなく広がる海が、無限の可能性も秘めているように錯覚してしまう。そんな人にはならないで」
そう締めくくられていたあの本は、一体いつ失くしてしまったのだろう。
           ー1話―
 中途半端なことがきらいだった。
 読みかけでとじられた本や、飲みかけでキャップをしめられた缶コーヒー。
 やるなら最後までやればいいのに。他人事のようにそう言って冷たい視線をぶつけた相手は、「自分」という物体を作り上げてしまった、いわゆる「神」のようなものだったのではないだろうか。
 そもそも私は、「神」の存在など信じていないのだけど。
 「神」に祈りをささげる人たちを見ると、なぜだか涙が出そうになる。その反面、どうしようもなくイライラして、その人たちに怒鳴り散らしてやりたくなる。
「神なんて存在しないんだ。もし存在したとしても、それはみんなが想像している、願いを聞いてくれる『神』なんかじゃない。第一、私は、生まれたいと願った覚えはないもの」
 私は、物心ついた時から「中途半端」を嫌っていたと思う。
 それは、自分のことを「中途半端」だと認識していたからではないだろうか。
 「人」と「魚」とが半分ずつになっている体の私たちを、「人々」は「人魚」と呼んだ。「人」は美しいと称賛するけれど、私はそれが「中途半端」に思えて仕方なくて、嫌で嫌でたまらなかった。

今回はここまで!

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