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Tale of SOS (小説・後編 )

とても仲良くなった彼らと化け物は、毎日を楽しく過ごしていました。

そんなある日のこと。
化け物になんだか元気がないことに気付いた歌唄いの青年が、化け物に近づきました。
青年は化け物の綺麗な毛にそっと触れました。
すると。
ばちっ、と手のひらで光がはじけ、青年はびっくりして手を離しました。
一体何が起こったのだろう。青年は自分の手のひらを見て、驚きました。
青年の手は、今まで見たことのない『色』に染まっていたからです。
化け物に教えてもらった『黄』色や『橙』色に近い、でもそのどちらでもないような色。
青年がごしごしと目を擦ると、その不思議な色は一瞬にして消え去っていました。
何がどうなってるんだ。
しかし青年は、目の前の奇妙な現象に頭がいっぱいで、気づきませんでした。
その時、化け物の体から『赤』色が抜け落ちていたことに。

そしてその日から。
化け物は、彼らの前から姿を消しました。

突然いなくなった化け物のことを心配し、彼らはあちこちを探し回りました。
しかしどこを探しても、化け物の姿はありません。その代わりに、彼らは『色』のかたまりのようなものが所々に落ちているのを見つけました。
なんだろうこれは。
見ると、そのかたまりは道しるべのように点々と、小高い丘の方へと続いています。
彼らは急いで駆け出しました。最初に化け物と出会った、あの丘の上へと。
はじめから考えればわかったことだったのです。
あんな色を持っている――持って『いた』のは、
この世界で、たったひとり。


…すいません、前回後編に続くと言いましたが収まらなかったのでまだ続きます。
次回でホントに最後です!

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