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Tale of SOS (小説・終章)

小高い丘の頂上。そこにはずっと探しても見つからなかった、あの化け物の姿がありました。
化け物の姿を見て、彼らは言葉を失いました。
あんなにもたくさんの綺麗な色に彩られていた体からは一切の色彩が抜け落ち、彼らやこの世界と同じ、モノクロに変わり果てていました。
化け物の足元からは『色』の水溜まりがじわじわと、地面に広がっていきます。
それはまるで、化け物の体から命が流れ出ているようにも感じました。

待って。行かないで!
彼らは懸命に叫びました。
しかし化け物の体はきらきらとした光の粒子に包まれ始め、次第に向こう側が見えるまでにうっすらと透けていきます。
最期に化け物は言いました。
彼らに教わった『言葉』使って。

【そばにいてくれてありがとう】

化け物の表情は見えません。
ですがその時彼らには、化け物が確かに笑ったような気がしました。
化け物の体は次第に光の粒へと変わり、空へと高く、高く昇っていきます。
そして―――

気付けば、そこに化け物の姿は跡形も消えてなくなっていました。
代わりについ先ほどまで化け物のいた場所には、色とりどりの『色』が混ざりあった水溜まりだけが広がっていました。
その水溜まりから、少しずつ、少しずつ。

『緑』色の草原。
『青』色の空。
『茶』色の地面。

モノクロの世界が徐々に『色』を取り戻し、再び息を吹き返していくのを、彼らはじっと見つめていました。

「いなくなってしまったね」
「さみしくなるね」
「いなくなってなんかないさ」
「彼は、ここにいるよ」
「そっか」
「そうだよね」
「きれい」
「あぁ、きれいだね」
「世界って、こんなに美しかったんだね」
「…そうだね」

「「「「さよなら、僕らの友達」」」」

『世界の始まり』のその日。
どこまでも、どこまでも広がった『緑』の大地と『青』色の空が、いつまでも四人を包み込んでいました。

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