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ムーンライトステーション #8

前回の続きです。知らない方はねこの音楽隊のなまえをポチっと押して、前回のも読んでみてもらえるとうれしいです( ゚∀゚)ではどうぞ!
 僕らはその後、海沿いの定食屋でネギトロ丼を食べ、少し遠回りして駅へと歩いた。君は始終笑顔だった。自分ではわからないけど、きっと僕も笑顔なのだろう。
「家に着いたら、もう残り20分だよ。急がなきゃ」
電車に揺られながら、君はやわらかい声で言った。僕はさっきこっそり買っておいた、君への最後のプレゼントを紙袋から出した。それは、美しいガラス細工で、花の形をしていた。
「なあに、これ」
君はそれを受け取ると、光にかざして顔を近づけた。
「プレゼントだよ。それの花言葉、知ってる?」
君が首を振ったのを見て、さらに続けた。
「『永遠の絆』だよ。家を出る時、一番の親友がそれと同じキーホルダーくれたんだ。花に詳しい奴でさ、花言葉を教えてくれたんだ」
「こんな花見たことない。なんていう花かはわからないの?」
そう尋ねられ、少し考えた。花の名前は教えてもらえなかったと思うし、僕もこんな花は見たことがない。
「聞いた気もするけど、忘れた。僕もそんな花見たことないんだ」
きみは「ふうん」と言うとキーホルダーを回して観察した。
「でも、きれいな花だよね」
 アパートに帰ると、もう11時半をまわっていた。
「…そろそろだね」
君は微笑んで静かに言った。
 僕も小さく「うん」頷いた。
 もう2度と君には会えない。
 君の笑顔は僕の携帯電話の中にしかなくなる。
 君と笑い続けることができるあのベタな話は、もうすることはないだろう。
 そんなことはわかっていた。でも、もうそんなことはどうでもいいと思った。
 独り身になったら、思い切って実家に帰ろう。そうだ、あのキーホルダーをくれたあいつに、花の名前を聞かなくちゃ。
 どうしても、その場に君がいればと考えざるをえなかったけれど。
きり悪いけどここまで!次回、最終回ですΣ(゚д゚lll)