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図書部小説企画の二日目「アイスキャンディー×夏」の作品をまとめました。 ※投稿日時順に並べてあります。

溶けていく青春

お題「アイスキャンディー×空」

喫茶店で必死に書き上げました。
冷静に考えたら今日中に明日の分を半分は書かないと間に合わないんですよね。
仕事だけはどうにもならぬ……。

そういえば、タイトルだけ決めて、空の要素をしっかり忘れておりました。
ま、まぁ、内容は無関係ではなかったので結果オーライ。
いつから私は夏と勘違いしていたのやら……。

そんなわけで2日目よろしくお願いします。
あ、読んだら感想を書くと、書き手はみんな喜ぶものですよ。
というわけで読み専の方、スタンプなりレスなり各所へ!
書き手が舞い上がってここが更に活気づくはずです、多分。

聖花
女性/27歳/富山県
2015-08-27 17:35
  •  蝉の声が夏の空を支配している。夏によく見られる、遠くに浮かぶ入道雲すらもない、快晴。そんな空の下を歩く、一人の少年。背はさほど高くなく、リュックを背負い、ネットに入れたサッカーボールを時々弱く蹴りながら、照り返しのきついアスファルトの道を歩いて行く。
     周りには彼と同じようにリュックを背負い、カバンを肩に掛けている少年少女が歩いていた。その着ている服は同じだったため、同じ学校の生徒であるということは、一目瞭然だ。
     まだ学校を出て五分と経っていないような道で、分かれ道はなかった。こうして生徒がぞろぞろと歩いているのは、必然の光景だった。お互いに顔を見知った生徒だっているが、それでも、今は彼一人だった。
    「夏原君!」
     だからだろう、躊躇うことなく、後ろから少女が声を掛けてきたのは。
     立ち止まって、声のした後ろを振り返ると一人の少女が走っていた。それが、よく見知った少女であることを認めて手を振る。彼女は笑って、駆け寄ってくる。
    「はぁっ、はぁっ……。ねっ、夏原君、これから、帰り?」
    「うん、そうだけど」
    「一緒にっ、帰らないっ?」
    「いいけど、先に、ちょっと息を整えた方がいいよ」
     彼女は学校から全力で駆けていたのだろう。呼吸は乱れ、肩で息をしている状態だ。そんな彼女を歩かせていても、彼女を辛くするだけだった。夏原は全然急いでいないから、彼女を待たない理由もなかった。
     彼女は、制服姿だ。半袖から覗く腕は、日焼け止めでも塗っているのか、白いままだった。腕だけではない、顔も、脚も、白いままだ。それが不健康そうな色ではないことは、彼女の表情を見ていれば分かる。ただ、日に焼けたくないから、彼女なりに自衛しているだけという話である。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:15
  • 「大宮さん、どこから走ってきたの?」
    「えっ? えっと、最初から、かな」
    「最初からって……」
     笑いながら、校舎の方を指さす。
    「学校から?」
    「う、うんっ。部活終わったら、夏原君が見えたから、つい」
    「それで、こんなに走ってきたんだ」
     少年の足、しかし運動部の少年の足である。五分ほどとはいっても、四百メートルほどは歩いていたのである。部活帰りと大宮は言っていたから、階段の上り下りも含めると、ちょっとした中距離層を全力で走ってきたことになる。体の負担は大きいはずだ。
    「い、一緒に帰りたくて」
     それだけの理由で、ここまで走ってきたらしい。別に無理しなくてもいいのに、と夏原は思うが、彼女がそうしたかった、というのだから、彼に止める理由などどこにもなかった。一人の帰り道は寂しい、というのもある。
    「ここまで追いかけてきてくれて、ありがとう」
    「う、うぅん! これで断られたらどうしようかと思ったよ」
     そんなことはしないよ、と言って、行こうか、と彼女を促す。大宮はもう、辛そうではなかった。呼吸もいつも通り行っている。
    「文化部なのによくここまで全力で走れたね」
    「あ、夏原君知らない? 部活で外周走ってるのって、合唱部なんだよ」
     そういえば、と夏原は思い出す。校庭で練習をしていると、体操服を着た大勢の女子生徒が走っている場面を見かけるのだ。それも、決まって部活が始まってすぐの時間帯。今は、夏休み中だから、朝のウォーミングアップをやっている時間帯に今日も生徒が走っていた。
    「そうなんだ。てっきり、バスケ部とかバレー部だと思ってた」
    「彼女達は体育館だよ」
     笑う彼女は、もういつも通りに喋っている。夏原と大宮の身長は同じくらいだが、歩くスピードは彼女の方が遅い。そのため、夏原は普段より歩幅を小さくして歩いている。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:16
  •  学校は坂道を登ったところにある。今、下り坂を彼らは歩いているが、その両脇には樹木や街灯くらいしかなく、暑さを凌げる場所は、木陰くらいしか存在しなかった。
     幸い、歩道に木陰が出来る時間帯だったために、直射日光を浴びるのに比べれば幾分かはマシだが、それで熱い空気から逃げられるわけもない。汗は次々と噴き出してくる。
     隣にいる大宮も同様であった。彼女は全速力で走ってきたことも相まって、汗だくだった。心なしか顔も赤くなっていて、夏原は彼女が熱中症になってはいけない、と思う。
     今年の夏は、暑い。それは、雨があまり降らなかったせいだろうか。連日、気温が上がり続けていて、部活中もこまめに休憩を取っているくらいだ。坂を下りたら、近くのコンビニに寄った方がいいかもしれない。
    「夏原君、宿題進んでる?」
    「難所の植物採集で標本作ってるところかな。五教科はぼちぼちってところ」」
    「いいなー、私はまだ、植物採集終わってないの」
     理科の課題で、植物採集がある。地域の雑草や、普段は行かないような山で植物を十種類ほど集め、標本にして提出する、というものだ。
     植物を標本にするのは、押し花と同じ感覚だ。乾燥させるのに日を要する。早めにやらないと間に合わない筈のものだが、それを終わらせていないとは。
    「今日明日にやらないと間に合わなくなるよ」
    「やっぱりそうだよね……」
     お盆を目前に向かえ、夏休みはもう、後半に差し掛かっていた。植物を調べることを考えたら、採集を終えておかないと間に合わなくなってしまう。そのことを、大宮も分かっていたようで、声音は沈んでいた。
    「コンクールとかあって、どうしても採集に行けないんだよね。夏原君はどこで採ってきたの?」
    「僕は、家の近くだよ。山間だし、いろいろあるからね」
     夏原の家は、学校から遠く離れていて、彼はバスで通っている。ここから一度駅前まで行って、そこからバスに乗って家の方まで行くというルートだ。所要時間は約一時間。バスの乗り換えを含めれば、一時間半近く掛かる時もある。通学が大変だとは思うが、バスに乗っている時間で寝れると思えば、朝早く起きてもそこまで苦ではない。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:16
  •  何もない場所だと思っているが、植物採集をするには絶好の環境で、採集するまでに掛かる時間はそれほど掛からなかった。こんな時に、まさか自分の住んでいる場所が有利になるなどとは思いもしなかったが。
    「えー、いいなぁ」
     どうやら大宮は植物を採集する場所がなくて苦労しているようだ。
    「私、家の周りでたくさんの植物なんて見たことないよ。雑草ばっかり」
    「僕の方は、歩いて二十分くらい歩かないと、コンビニさえない田舎だから」
    「うーん、それを聞くと、どちらがいいとは言えないね」
     生活は便利な方がいい。そう思うのは自然なことだと思うが、何か特殊なイベントがあった時に、自分の生活を嘆いたりするのだ。そんなことはできないよ、と。しかし、便利な生活とは縁遠い生活をしている人間は、少しくらい特殊なイベントがあったって、何の苦労もしないのだ。ささやかなことに楽しみを見出せることが多いのだから。夏原も、些細なことに喜びを見出す人間だった。例えば、そう、今、大宮と一緒に学校からの坂道を歩いていることも、喜びだ。
    「それじゃあ」
     その喜びを、もう少し大きくする方法を、夏原は思いついた。彼女が乗ってくれるかどうかは微妙な所だが、切羽詰っている彼女からすれば、ぜひとも乗りたい案に違いない。
    「時間あるなら、僕の家、来る?」
    「え、いいの!?」
    「いいよ。大宮さんが時間あるなら、だけど。植物採集、終わらせちゃおう」
    「わーい、やった! ありがとう、夏原君!」
     満面の笑みで夏原を見る大宮は、本当に喜んでいるようだった。その笑みが、夏原の家に来ることなのか、植物採集を終わらせることができることの喜びなのかは、残念ながら夏原には分からない。
     坂を下りきると、国道の走っている通りに出る。信号を渡った先には、青いコンビニがあった。
    「先に、ちょっとコンビニに寄って行こうか。遠いし、何か買って行こう」
    「あ、うん」
     信号はちょうど青になったところだった。大宮を促して、夏原は先を進む。坂道とは違って、街路樹もろくにないような道路だ。アスファルトから立ち上る熱が、陽炎のように揺らめいているように見えた。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:17
  •  信号を渡りきって歩道を横切ると、コンビニだ。中に入ると、寒すぎるほどの冷気が二人を襲う。頭上から鳴り響く電子音が、二人の来店を告げていた。
     ふと目に入るアイスクリームのコーナー。これだけ暑いのだし、今食べたらきっと美味しいだろうな、などと思う。
    「はぁーっ、涼しいね」
     店内に流れる音楽に負けないほどの、しかし周りには聞こえないような声音で大宮は言う。たしかに、外の暑さに比べれば、店内はとんでもなく涼しい。が、すぐにこれを寒く感じてしまうだろう。
     猛暑の中やってきた人間が涼しく感じる気温は、相当に低くてもおかしくはない。こんなところ、に十分もいれば出たいと感じることだろう。もっとも、それが店側の狙いなのかもしれない。
     二人で飲み物を手に取り、少し涼んでいく事も兼ねて店内をぶらりと歩く。先ほど、アイスが美味しそうだと考えていたせいか、ついアイスクリームコーナーの前で立ち止まってしまった。
    「買ってく?」
    「そうだね」
     中に何があるのかをざっと確認してから、蓋を開けた。中から凍りつくような冷気が漏れ出てきて、肌に刺すようだ。目的の物を取ると、大宮が、私も、と言って手を中に入れた。
    「ついつい、新商品見ると買いたくなっちゃうんだ」
     彼女が持っていたのは、夏原が取ったスタンダードなアイスキャンディーとは別の、梨味のもの。たしか、最近発売されたはずだった。夏原はスタンダードなその味が気に入っているし、安いからそれ以外を買うことはほとんどないのだが、大宮は新しい物には目がないらしい。恐らく、期間限定商品にも弱いだろう。
     互いに会計を済ませ、店員の声を背にしてコンビニを出る。入り口横にゴミ箱があったため、そこで立ち止まってアイスキャンディーの袋を開けた。大宮も同じように袋を破って、アイスキャンディーを取り出している。ゴミ箱に袋を捨てて、二人は駅の方へと歩き出した。
    「サッカー部って、なんかいいよね」
     冷たいアイスは、体に沁みるようでやはりおいしかった。口に含めればすぐに溶けてしまうが、それもまた醍醐味というものだろう。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:17
  • 「なんかって?」
    「ん、なんか、夏の青春って感じがして」
    「それを言うなら、野球部だよ」
    「えーっ、サッカーも野球も夏だよ」
     たしかに、高校生の野球の花形である大会は、夏休み期間中に行われるが、サッカーは違う。年末に行われるのだ。寒い中、ひたすらボールを追い続けると体が温まるから、ゲーム中はさほど気にならないが、終了後、クールダウンしてから体に襲い来る寒さは、筆舌に尽くしがたい。
    「高校サッカーの大きい大会は年末だよ」
    「あぁ……、そうだったね」
     この暑さでアイスキャンディーは早くも柔らかくなり始めていた。急いで食べないと、溶けて形が崩れてしまうだろう。
    「でもさ、なんか、夏って気がするんだ。屋外スポーツだからかな」
     大宮の方も、食べ始めの頃より少し急いでアイスキャンディーを食べているように見えた。雫が垂れないようにと懸命な様子だ。
    「それは、あるかもしれないね」
     サッカーにしろ野球にしろ、汗をかくスポーツというイメージが強い。その点だけを考えれば、夏のスポーツという捉え方はできるだろう。
     そして、天気のいい日にしか屋外で部活をしていない。サッカー部は多少の雨ならば外でゲームをすることもあるが、それでも、本降りの雨に強風が出てきたら外で部活をやるわけにはいかなかった。雪が積もれば、当然外で練習はできない。なるほど、たしかに夏のスポーツかもしれない、と自分を納得させることが出来た。
    「でも、部活はみんな青春だと僕は思うよ。合唱部だって、夏に大きなコンクールあるじゃん。それだって、結果に一喜一憂するから、同じことだと思うけど」
     テレビ局主催の合唱コンクールはあまりにも有名だ。そのコンクールは、野球やサッカーとは違って、中学生にもスポットが当たる。それを夏原は羨ましいと思ったことがある。同年代のプレーを見ることがどれだけ向上心を刺激されるか彼は知っているからだ。
    「違うんだよ。なんていうのかな、えっと……」
     大宮は、夏の青春ということに拘っているようだった。夏原にはそれがあまり理解できず、それを深めようとしてもうまくいかない。仕方がないので、アイスキャンディーを齧ると、軟らかくなっていたそれが、ぼとりと地面に落ちてしまった。取り残された木の棒が、なんとなく寂しさを漂わせる。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:18
  •  それを見ていた大宮が、更に慌ててアイスキャンディーを食べるものだから、面白くなってつい笑ってしまった。まだ残っていたそれを、大きめの一口で口に入れると、しばらくして、よしっ、と嬉しそうに言う。
    「私は食べきったよ!」
    「最後、必死だったけどね」
    「お、落とすと勿体無いじゃん!」
    「それは、そうだけど……」
     だが、女子が食べるにしては大きい一口は、忘れられそうにもなかった。あんなにも必死になって食べる大宮の姿をそう頻繁に見られるわけでもないし、それがまた面白くてやっぱり笑ってしまう。
    「もうっ」
     大宮はふいと横を向いてしまった。どうも、彼女の機嫌を損ねてしまったらしい。
    「ごめんごめん。それで、僕としては、夏の青春について続きを聞きたいんだけど」
    「あっ、そうだったね。えっとね」
     大宮が鞄の中からタオルを取り出して、先ほどコンビニで買った飲み物をくるんだ。飲み物は鞄に仕舞って、今ほど飲み物が入っていたビニール袋をそのままゴミ袋にしていた。
     夏原も同じようにしてゴミを仕舞う。なるほど、タオルにペットボトルをくるめば、結露でノートや教科書類が濡れてしまうことはない。今日は部活だからそういったものは一切入れていないが、夏休みが明けたら有効活用できそうな手だ、と思う。
    「体を動かす青春っていいな、と思うの」
    「そう?」
    「そうだよ。達成感、すごくあるじゃん! 私達なんて、体をリズムに揺らすくらいしかできないもん。音を外さなかったらそりゃ嬉しいけど、でも絶対、運動部の方が勝った時、上に行けた時嬉しいと思う」
    「そういうものかな」
    「そういうものだよ、きっと」
     大宮が小走りに前を行き、夏原を振り返って、言う。
    「こーんなに良い天気の日に、外に出て体動かさないなんて、勿体無いよ! 湿っぽくっても、陽が強く照っていても、それでも、どこまでも行けそうな空の下に出ないなんて勿体無いって思うんだ」

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:19
  •  大宮は文化部ではあるが、体を動かすことが好きな少女だった。休み時間は外に出て運動のできる女子と一緒に遊んでいるし、休日はどこかへ出かける予定を毎週のように友達と組んでいるのを見かける。家でじっとしていることができないのだろう。
     その気持ちは、分からないでもなかった。夏原だって、晴れた日は喜んで外に飛び出してボールを追いかける。自転車に飛び乗って、少し遠くまで景色を見に出かける。雨が降れば、窮屈な部屋の中に居なければならないから、それが憂鬱になるのだ。
    「夏の空気の一部になれそうな気がするの。それが、羨ましいって思う」
     大宮の言っていることは、ちょっとばかり難しかった。そういえば、彼女は国語の成績がよかったんだったか、とこの時になって初めて思い出す。可もなく不可もなくな成績の夏原には、少々難しい話である。
    「それは、バレー部や、合唱部、美術部なんかではできないの?」
    「だって、外にいないじゃん! 夏休み、公園ではしゃぐ小学生の子達は景色の一部だよ。屋外でスポーツしている中学生だって同じだよ」
     言われてみればそうだ。夏原の家の近くでも、小さい子どもたちが虫を追いかけ回して連日騒いでいる。それを煩わしいと思ったことは一度もなかった。元気そうでいいな、と思うくらいだ。今のうちに、夏を楽しめ、とも思う。
     少々難しい言葉で彩っているが、大宮の言いたいことも、そういうことなのかもしれない。
     屋外で部活をやっている生徒のことを、夏を楽しんでいると思っているのかもしれない。四季にはそれぞれ楽しみがあるが、学校でできる夏の楽しいことなど、夏休み中に部活に明け暮れることだけなのだから。
    「溶けていく、って思わない? こうやって歩いていると」
     それはきっと、暑さで溶けそう、という意味ではない。自分達が景色の一部となっている、という意味であろう。
    「夏にアイスを食べるのと同じくらい自然なことだってこと?」
    「うんうん、そんな感じ」」

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:19
  •  空を見上げる。秋の空に比べれば高くはないが、それでも、雲一つない青空は、心を澄み渡らせてくれると思う。
     飛び出していける、どこまでも。大宮も、そう思っているのかもしれない。
    「汗を流して、得たものってきっと何物にも代えがたいよ。形として残らないけど、心の中に残るんだ。今、アイスを美味しいって感じたように」
    「うん、そうだね」
     大宮の言葉は、自分自身に言い聞かせているようにも思えた。そういえば、合唱部のコンクールは間近に迫っていたはずだった。彼女は今日も、窓を開け放った音楽室で声を出しきっていたのだろう。仲間と共に、汗を流しながら、必死に歌っていたのだろう。
     夏休み中に出来る練習は、授業期間中の何倍にもなる。その分、心に残るものも、多い。
    「コンクール、いい結果が出るといいね」
    「そうだね。全力で、歌ってくるよ」
     それを思って、彼女に応援の言葉を投げた。笑顔で頷いた彼女は、何の迷いもなくて、輝いていて、彼女だって青春しているじゃないか、なんて思う。
     そうして部活のことを語らっている間に、もうバスターミナルに着いていた。広場にある時計を見て、バスの時刻表を見ると、もうそろそろバスがやってくる時間だった。
    「この暑い中待たなくて済むよ」
    「私は待ってても問題ないけどね」
     夏原としては、この暑い中じっとしているだけというのは嫌だったのだが、大宮は違った。もしかすると、夏原よりもバイタリティがあるかもしれない。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:20
  •  ……帰ったら母さんにご飯作ってもらおう。
     せっかく友達を家に連れていくのである。家に着けば昼ごはん時はとっくに過ぎているから、何か食べないと活動するには辛くなる。植物採集は暑さとの戦いになるから、涼しくなれるようなものを母には作ってもらわないといけないだろう。
    「お昼、何食べたか食べたいものあった?」
     横に立つ大宮に話しかけると、彼女は目を丸くしてしまった。まさか、食べないつもりだったのだろうか、彼女は。
    「えっと……」
    「母さんに作ってもらうからさ」
    「えっ、私の分もいいの!?」
    「もちろん。その代わり、ちょっと課題教えてくれると助かるかな」
    「喜んで!」
     大宮は大きく頷いた。これで、滞っている課題も少しは進むことだろう。
     バスが来て、大宮と二人、乗り込んで席に座る。二人の他にも少数ながら人が乗り込んできて、席が埋まっていった。
    『発車致します、ご注意ください』
     アナウンスと共に、バスは走りだし、景色は流れていく。大宮と二人、何もないような田舎町へと向けて、バスは走っていく。
    「夏原君」
    「ん?」
    「今日は楽しもうね!」
     そう言って大宮は流れていく景色を一人楽しそうに眺めていた。その姿を見て、夏原も心なしか嬉しくなる。今日は、特別な一日になりそうであった。

    End.

    全て載ってますように! ちなみに今日のは約7800字あります。昨日のは9000字ちょいです……。

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-27 18:22

ぼちぼち書こ。

俺は視力2.0だか自分の目を疑った。空味のアイスキャンデー。誠が言っていたのは嘘でも問題発言でもなかった。謝罪記者会見で泣き喚く必要もない。本当にあったのだ。 空味のアイスキャンデーが…

ボンクラ微少年
男性/22歳/兵庫県
2015-08-27 20:50
  • 太陽がテンテンと照りつけている。眠い目を擦りながら学校と言うブタ箱に向かって歩いている。登校中と言うワケだ。
    「アキラ、知ってるかー?空味のアイスキャンデーって?」アホウの誠だ。風紀委員にギリギリ注意されない程度に髪を染めている。元々俺は茶色だとかぬかすヤツだ。
    「知らん。興味ない。失せろ。」冷たい言葉を並べて言ってやった。分かりやすいように。誠はピアスをしたくて画びょうで耳に穴をあけたバカなヤツだ。
    「3丁目のよおー ピヨ子って名前の駄菓子屋にあるらしいンだよ。でも、たまにしか置いてなくてスゲー美味いらしい。どんなかなー雲味って。」

    ボンクラ微少年
    男性/22歳/兵庫県
    2015-08-27 22:35
  • 瞬間、2つ思った。空味じゃなかったのかっ!?と俺の話全然聞いてねぇ!!…だ。ツッコミを入れようかと思ったが止めた。朝だし。低血圧だし。関西人でもない。俺はアキラって名前の…高2、凡人だ。

    夕暮れ時もしくは下校の時間…。時は誰の言う事も聞かず勝手に進む。俺はオレンジ色の空を泳ぐ雲を見ながら誠の言っていたアイスキャンデーの事を思い出していた。一体どんな味なんだろうか。…ごくうん。唾を飲み込む。どばあっ。また口の中で唾が再生される。ああ、なんと言うか…これはあれだ「食べたい!!モーレツに空味だか雲味だかのアイスキャンデーが食べたーい!!」

    ボンクラ微少年
    男性/22歳/兵庫県
    2015-08-27 22:48
  • 気づいたら俺は走っていた。脱兎のごとく!!風のごとく!!ハヤテのごとく!!(アニメ面白かったよね)今の俺は誰にも止められないっ!!例え学校一、美人のアヤコさんに声をかけられてもだ!!角を曲がった!!
    「あっ、アキラくん」天使のささやき。俺の脚は止まった。
    「何?アヤコさん」私服のアヤコさん。し、白ワンピースてええええっ!!!!至福!!俺は今、アヤコワールド(アヤコさんの半径3メートル以内)に入っているっ!!
    「いや、何でもないんだけどビックリしちゃって。ゴメン急いでたんだよね。じゃーねー。」アヤコさんは行ってしまった。噂の筋肉隆々金髪イケメン彼氏にでも会いに行くのだろうか。別れれば良いのに…。

    ボンクラ微少年
    男性/22歳/兵庫県
    2015-08-27 23:03
  • とぼとぼ歩いた。マジックアワーとか言う時間帯だ。日が落ちても数十分は明るい。サビれた看板にピヨ子と書かれてある。例の駄菓子屋。入ってみると誰もいない。体に悪そうな10円20円の駄菓子が並べられている。その奥の方に古いアイスケースがあった。貼ってある紙に何やら書かれている。…「空味」 あるっ!!本当にある!!誠が言ってた事は真だ!!寒い親父ギャグもなんのその興奮してアイスケースを開けた。それはまさしく…空だった。

    ボンクラ微少年
    男性/22歳/兵庫県
    2015-08-27 23:12
  • いや、ソラじゃなくてカラと読む。中には何もない。よく紙を見ると元々「ソーダ味」と書かれていて消えかかったのを良い事に上から無理やり「空(カラ)」と書いてあったのだ。ここにアイスは無いと言う意味だ。
    体に悪そうな水色のぐるぐるした棒ゼリーを買った。外はもう暗くピヨ子のおばあちゃんに頼まれて一緒に店のシャッターを下ろした。
    「おばあちゃん元気ですね」
    「私ゃ生涯現役じゃよまだまだイケる。もう暗いケド泊まってくかい?」
    「親が心配するので帰ります」10代特有の思考回路で変な想像をしてしまった。帰り道中で空っぽの心になった。おわり

    ボンクラ微少年
    男性/22歳/兵庫県
    2015-08-27 23:23
  • 参加ありがとうっ!掲示板開いて「ふぁ⁉︎」ってなりました(笑)嬉しい〜。

    小説も笑わせてもらいました。内容がアニメーションとして頭に入ってくるし、起承転結がしっかりしてるし、ちゃんとオチがついてるし・・・。
    ・・・文才ないなんて嘘じゃないか((((;゚Д゚)))))))
    さすがだね!素直に面白かった!

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-28 00:22
  • いやー。伏線回収とか起承転結を気にし過ぎてねー。誤字とかもあるし、「アイスキャンディー」だったね。551はアイスキャンデーだからさ。感想ありがとう。

    ボンクラ微少年
    男性/22歳/兵庫県
    2015-08-28 13:35

天使射怪鳥事 第2話

~雪花の段~ (お題 アイスキャンディー×空)


青嵐が吹き荒れる7月のある日、
いつも通り部室と言う名の神渡兄弟の家に集まっていた。
しかし、いつもと様子が違う。
普段はやたら無口で、喋っても声にならない声で喋るサトルくんがやたら饒舌なのである。
「おかしい...絶対おかしい...おかしい...。」
兄であるヨシヒトくんでさえこの様子である。
内容はざっとこんなものだ、
実際に所属している美術部で描く絵の被写体がほしいから高原に行きたい。
でも、1人じゃ怖いから、皆に着いてきてほしい。
内容はこの程度だが、久々に喋ろうとして本人も混乱しているのか、「あのね...あのね...」とかれこれ25分くらい話している。
書いていないからわからないと思うが、神渡 哲は身長160cmで、とても母親に似た美形男子である。
正直、めっちゃ萌える。
......まぁ、そんなことは置いといて、たまには皆で遊びにでも行くか、ということでとある高原に三連休を使って行く事になった。

Key-tower
男性/20歳/長野県
2015-08-27 21:46
  • そして5人は、三連休にとある高原に二泊三日間の予定で行った。
    実はサトルくんの被写体探しの他に目的があった。
    この高原には、夏に甘い雪が降るという言い伝えがあった。
    サトルくんの願いを叶えてこちらもこちらで怪探をして一石二鳥ということらしい。
    サトルくんが四十八茶百鼠の世界を創っている間、
    私とハカリさんとモモさんで甘い雪を怪探することになった。

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-27 22:53
  • 「しっかし、甘い雪なんてほんとにあるのかね。」
    「いいじゃない、夢があって。
    空からアイスキャンディーが降ってくるって考えたら......♡」
    「うぉぉ...なんか燃えてきた!!」
    「燃えるならついてこないでよ、溶けちゃう。」
    「.........ごめんなさい。」
    「あ...ごめんね、天子ちゃんのことおいてけぼりにしちゃった。」
    「あっ、いいえ!大丈夫です。」
    こんな感じの会話を繰り返しながら1日探索していたけど案の定甘い雪は見つからなかったし降っても来なかった。
    夕方にはホテルに戻った。

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-27 23:24
  • 部屋は男子と女子で分けたので、私はモモさんと一緒だった。
    部屋にはモモさんしか居ないので夜まで結構ぶっこんだ話をしていた。
    内容は秘密だよ。
    そして...私達は眠りについた。

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-27 23:34
  • 私が覚醒した時、明らかにいつもと違う感覚があった。
    ―ッ!!
    嘘、横で寝ていたモモさんが居ない。
    しかも...なんか寒い?
    窓を開けて外を見ると蒼色の雪が降っていた。
    まさかと思って舞ってきた雪を舐めてみると...
    甘かった。
    これが言い伝えの甘い雪のようだ。
    ホテルは、冬の時にはゲレンデになる横に建っている。
    そこからゲレンデの上の方が見えるのだけど、
    何故か上の方が青白く輝いていた。
    私は、意を決して外へ出てみる事にした。

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-27 23:50
  • ゲレンデの光の正体は蒼く光る蛍の大群だった。
    その蛍の大群の中に、群生する勿忘草と着物を着た
    一人の男が立っていた。
    その男を見た途端デジャヴュのような感覚に囚われた。
    なんだか会った事があるような...
    なんだか合う前から...やめよう。
    こちらの存在に男が気づいた。
    男は酷く動揺しているようだ。
    「嘘だろ...ここに僕以外の人間が来るなんて。
    いや、この間もこんな事があったな.........
    確か......70年くらい前だったかな。」
    私は、また意を決して男に話しかけてみた。
    「あの、ごめんなさい。ここは何処ですか?」
    男は一瞬間を開けて答えた。
    「......ああ、君は此処が何処かわからないのか。
    此処は君達が住んでる世界の平行世界の一つだよ。
    初対面ですまないが、質問をしてもいいかね?」
    勿論答えはイエスだ。
    「ありがとう、じゃあ質問をするよ。
    君は...平行世界を見ることが出来るね。」
    「はい、そうですけど...。」
    この質問を革切りに彼との不思議な会話が始まった。

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-28 00:18
  • 「なるほど...これまでの答えから推測すると、
    君がこの世界に来た原因は、恐らく君の平行世界を見ることが出来る力の暴走だ。」
    「ぼっ...暴走?」
    「そう、暴走。
    1回70年くらい前に君とおんなじような能力を持った子が迷い込んで来たことがあったんだ。
    その子と質問の答えが殆ど一緒だから多分君の能力は暴走している。」
    「どうすればいいんですか?」
    「そこんところは大丈夫。
    この世界はそんな子の力を元に戻す力があるから。
    ......それはともかく、君はどうしてそんなに落ち着いているんだい?」
    「え?...それはどういうことですか?」
    「いやぁ...例の70年前に来た子は酷く混乱していて僕の話しなんてろくに聞かずに帰ってっちゃって
    君らの世界でこの世界の雪が言い伝えになっちゃったから......。」
    「あぁ、そういうことだったんですか。
    それは多分貴方に何故か会ったことがあるような気がしたからだと思います。」
    「あら、そうだったの。
    奇遇だね、僕も同じこと考えてた。」
    私達は勿忘草の中でしばらくの間話しをしていた。

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-28 00:44
  • 「おっと、もうお開きみたいだ。」
    その言葉はつまり、彼との別れを示していた。
    そう思うとなんだか涙がぼろぼろ出てきた。
    「もう...泣かないでよ。」
    彼はにこやかに微笑んで言った。
    「だって......」
    と言いかけた瞬間、私の全ての言葉が遮られた。
    彼の唇によって。
    「どう?少し落ち着いた?」
    落ち着いたも何も......まさかファーストを奪われるなんて...
    そして彼はおもむろにしゃがんで勿忘草を摘んだ。
    この勿忘草は少し特殊な勿忘草で光合成が出来ないんだ。
    だから僕が常に有機物の雪を降らせているんだ。
    君らの世界に持っていったらすぐダメになっちゃうかもしれないけど...。
    「いいよ、そんなこと。
    貴方に逢ったっていう証が...一時期でも...あれば...。」
    もう何を言っているのかも分からなくなってきた。
    「それじゃ、もう時間だ...。」
    「うん、わかった。」
    私は、最後に飛びっきりの笑顔を作ってみせた。
    彼も飛びっきりの笑顔で返してくれた。
    「ねぇ、最後にひとついい?」
    「うん、いいよ。」
    「私の名前は広有天子、貴方の名前は?」
    「僕の名前?僕の名前は.........」
    ― 真弓 だよ。
    次の瞬間、私の意識は虚空の彼方に飛ばされていった。

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-28 01:30
  • ―あとがき―
    以上にて第二話は終わりです。
    第一話が我ながらとんでもない駄作だったので今回は文の書き方を変えてみました。
    この調子で作っていければいいです。
    (ハカリの空気化をなんとかしなければ...笑)

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-28 01:35

雨の下で

お題:アイスキャンディー×空

できたてほやほやです。

えかきゅー
女性/23歳/東京都
2015-08-27 22:25
  •  梅雨ってのはまぁ、何というか、面倒臭い。雨が嫌いなわけじゃないが、学校に行く途中に服や荷物が濡れるのは嫌だし、傘はかさばる。いや別にダジャレを言ったつもりはない。マジで。
     今日も朝から雨だった。駅まで自転車を使っている俺は、雨だと色々と大変なのだ。いつもより30分早く起きて100円かかるバスに乗らなければならない。そして駅から電車と徒歩。あー、今日も間違いなくびしょ濡れだな、こりゃ。バスの窓に叩きつけられる雫を眺めながら憂鬱な気分になる。
    “次は終点、◯◯駅、◯◯駅です”
    車内アナウンスを聞きながら鞄と傘を掴む。バスは駅の西側にある停留所に止まった。
     停留所(屋根付きで大変ありがたい)に降り、傘をさして改札へと歩き出す。いつもと違う時間に家を出たおかげで、今日も1本早い電車に乗れそうだ。


     梅雨明けを待ちわびた俺の、錯覚などではなくて。
    「リマ?」
    ホームに向かうべく下った階段。その先で青空を見つけた。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:50
  •  サイドで一つにまとめた黒髪、地味な眼鏡、化粧っ気のない顔、膝丈のスカート。
     俺の声に、ビクッとして彼女が振り返った。途端に青空が見えなくなる。彼女は恐る恐るこちらに顔を向けたが、声の主を認識した瞬間ほっとしたように胸をなでおろした。
    「久し振り」
    「うん、久し振りだね」
    「同じ駅使ってるはずなのに会わねえなと思ってたら、この時間なのか」
    俺の言葉にリマが頷く。二人並んでホームへと続く階段を上りながら、他愛もない話をした。
     俺とリマは通っている学校こそ違うものの、乗る駅も降りる駅も同じである。ひょんなことから知り合って、あんなことやこんなことがあって今に至るわけだが、その話は後で説明しよう。あ、別に彼女とかじゃないからな。
     ホームで電車を待つ間も、車内で吊革を掴んでいる間も、リマはしきりと周囲を気にしていた。俺はそれに気づかないフリをして話を続ける。昨日見たバラエティー番組の内容、妹から聞いた豆知識、最近ハマっている音楽のこと。どうせリマの頭にはほとんど内容が入っていないだろうから、俺も適当な話ばかりを並べる。
     そうしていればあっという間に目的の駅。車掌の声に合わせて列車はスピードを落とした。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:51
  •  学校の最寄駅の前で俺たちは別れる。リマは駅からバス、俺は徒歩。そのまま「じゃあな」とだけ言って行こうと思ったが、何の気まぐれかこんな言葉が口から飛び出した。
    「今日4時にここ集合な」
    「・・・え?」
    「じゃ、そういうことで」
    「ええ?あ、藍人?」
    わけがわからないといった顔をするリマを置いて、俺は勝手に歩き出した。・・・あ、やべ、傘ささないと。濡れる濡れる。
     いつもはリマの方から突然の提案をしてくるのだ、たまにはいいだろう。帰りのSHR中に「◯◯に集合」なんてメールを何度受信したことか。それでも俺はあいつの我儘を受け入れる。最初からそうだったけど、リマの事情を知ってからは余計に、だ。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:51
  •  俺たちの話をしよう。
     俺とリマは小学校が同じだったわけでも、中学校が同じだったわけでもない。ただただ偶然出会っただけの間柄だ。すぐに意気投合した俺たちは、今ではすっかり仲の良い友達になったわけだが、リマの事情を知ったのはごく最近のことである。
     あれも偶然の出来事だった。駅でリマが同級生からいじめに遭っている場面に居合わせたのだ。そこで初めてリマがいつもどんなに必死で学校に通っていたかを知った。普段ははた迷惑なくらいハイテンションで明るく喋っていた彼女が泣いている。どうにかしてやりたいと思うのに、家族でなければ学校が同じでもない俺には、いじめから守ってやることができなかった。
    「いいの。あたしのために怒ってくれたら、それだけでも頑張れる」
    悔しさを吐き出した俺に、リマはそう言ってまた泣いた。

     リマの上には雨が降っていた。本当は冷たい雫に打たれていたのに、寒かっただろうに、リマはいつだって俺の前で笑っていたんだ。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:52
  •  放課後、雨は小降りになった。宣言通り駅の時刻表の前に立っていると、小さな青空が近づいて来る。読みかけの漫画を鞄の中にしまってリマを待った。
    「えっと・・・来たけど」
    俺の前に立ったものの一向に顔を上げようとしないのは、まだ近くに同じ学校の生徒がいるからだろうか。何となく察して声をかける。
    「コンビニ行くぞー」
    「コンビニ?」
    「お前、まさかコンビニを知らないと言うのか?コンビニというのは・・・」
    「そういう意味じゃない!」
    声を荒げたリマは、俺の知っているリマだった。ニヤリと笑うと、頬を膨らませてそっぽを向く。いつものテンションを取り戻して少し離れたところにあるコンビニへと向かった。
     そこならきっと知り合いが少ないだろう。そう思える程度の微妙な距離にあるコンビニに入ると、俺はアイスを2本買った。コンビニの裏にある公園の小さな東屋に入り、アイスを掲げる。
    「オレンジと桃、どっちがいい?」
    「・・・桃」
    左手に持っていたアイスを渡し、残った右手のアイスの包装を開けて口にくわえる。既に少しだけ溶けていた。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:52
  • 「その鞄、面白いな。買ったのか?」
    「うん。近所の雑貨屋で見つけて気に入ったから」
    リマの背中のリュックを見ながらそう言うと、リマは俺の顔とリュックを見比べながら答えた。今朝から何度もチラチラと見え隠れしていた青空の正体。
    「この時期にちょうどいいでしょ?雨でも青空が見えるから」
    水色や青色というより何より、「空色」という言葉が似合う色の布地が、絞染めでもしたみたいに白と混ざり合っている。そこに同じく白の星が全面に散りばめられた柄。空の模様ではないはずなのに、空にしか見えなかった。
    「それより今日どうしたの?突然」
    「あー・・・何となく?」
    「何それ」
    俺の言葉にリマはクスクスと笑う。
    「藍人のことだからなー、あたしのこと心配だった?」
    「・・・・・・」
    「大丈夫だよ」
    もう一度リマは笑った。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:53
  • 「色々ストレスが溜まったら、藍人を呼び出してストレス発散してるんだから」
    「マジか」
    俺はリマにとってサンドバッグ的な存在だったのか。初耳である。くわえていたアイスの棒を口から外し、彼女は言う。
    「今日もありがとね」

     例えば彼女の傘になれたら。雨が降るたびに彼女を守る事ができたら。そんなことを考えないわけじゃない。でも叶わないから、せめてこの東屋ぐらいになれればいい。突然の夕立に風邪を引く前に見つけてくれたら。


     いつの間にか雨は止んでいた。屋根の外、曇り空の下へと彼女が飛び出していく。
    「帰ろ、藍人!」
    青空を背負って、リマが振り返る。梅雨が明けたら空一面にあの色が見えるのだろうか。そんな季節になったら、今度は暑い日差しからこの東屋に避難しに来よう。アイスでも買って。
     俺は先を行く空色を追って歩き始めた。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:53
  • 人物紹介&あとがき

    リマ(りま):高校3年生。女子校に通っている。絵を描くのが得意。
    藍人(あいと):高校3年生。リマの友人。

    今作は元ネタが色々と。大したことは書いてないのでお暇な方はどうぞ。
    まずこの2人は、文芸部時代に書いた「視等級2.39の君と30cmの距離」という小説から生まれた子たちでした。兄妹みたいなイメージを持ってます。
    青空柄のリュックは、2年前わたしが同じ柄のリュックを買った時に思いついたネタでした。閃光ライオットにもこのリュックで遊びに行きました!書けてよかった〜( ´ ▽ ` )そしてツキウタ。涙くんの「雨の日だって笑えるんだよ」というセリフ
    に影響を受けてますね(笑)。
    にしてもアイスキャンディーの要素がうっすいなぁ・・・。反省。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-27 23:57
  • ギリギリ27日の更新に間に合わなかったか・・・(´Д` )

    あ、順次感想レスさせていただきますね!皆さんの小説、どれも面白くて嫉妬・・・じゃなかった、楽しませていただいております(*^o^*)!

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-28 00:11

お題発表

小説企画のお題を発表したいと思います!みなさんからいただいたお題を紙に書き写して四つ折りに→瓶に入れてフリフリ。ランダムに選んだお題がこちら!どーん!

8/26(水) ファンタジー×バンド
8/27(木) アイスキャンディー×空
8/28(金) パソコン×夏

です!!
以上に決定するのでお願いします。1日のみの参加でも3日通しの参加でも構いません。たくさんの方のご参加お待ちしてます〜。
あとごちゃつきを避けるために投稿時間の指定をしてたんですが、よく考えたら学校掲示板ほど書き込み数ないですし、時間指定なくても大丈夫ですかね?

えかきゅー
女性/23歳/東京都
2015-08-21 19:37
  • 成功をお祈りしてます!

    あったかむぎちゃ
    男性/19歳/群馬県
    2015-08-21 21:32
  • 了解です! 頑張って書きますね!
    初日がなかなか難易度高いなー、と思いながら見てました。
    できるだけ3日間参加できるよう、今から頑張ってきます!

    聖花
    女性/27歳/富山県
    2015-08-21 22:02
  • 小説企画のまとめ作らせて頂きます。
    突然すみません…

    あったかむぎちゃ
    男性/19歳/群馬県
    2015-08-21 22:06
  • 聖花さん:ですよね!あのお題見た時、自分で引いておいて「・・・は?」ってなりました(笑)わたしもできるだけ3日通しで投稿する予定なので、お互い頑張りましょう!

    あったかむぎちゃくん:応援のお言葉ありがとうございます!嬉しいです!えっと、小説企画のまとめとは?

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-21 22:59
  • あったかむぎちゃくん:あ、すいません。まとめの意味理解しました(たぶん)。いやー、リニューアル後のシステムについていけない(笑)

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-22 00:35
  • ついにですね!!
    頑張りますよ!
    まぁ、でもまだ小学生なので、少しおかしいところがあるかもしれませんが・・・・
    あと、もしかすると、27と28は、都合によって出来ないかもしれません。(ToT)
    残念です。
    でも、まだ決まったわけではないので!

    マオまおキャンディー1本百円!
    女性/15歳/香川県
    2015-08-22 13:33
  • えかきゅー様:この企画の経緯について、初めてこの掲示版を見た方でも分かるようにまとめたのですが、まだ確認中のようです…

    あったかむぎちゃ
    男性/19歳/群馬県
    2015-08-22 18:49
  • すいません、一つ質問です。
    この企画で書く小説の登場人物とか世界線の設定とかを全部リンクさせて、話としては独立してるけど物語としては繋がっているみたいな事をしてもいいでしょうか?

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-24 13:27
  • マオちゃん:ですね〜、ついに!です!多少おかしなところがあっても大丈夫。むしろ小学生の方からの参加希望があるとは思ってなかったので、嬉しいです!当日頑張りましょうね!

    あったかむぎちゃくん:わわわわわっ!まとめができてる!ありがとうございます(泣)!おかげさまで見やすくなりまして・・・嬉しいです(*^^*)

    Key-towerくん:返答遅れてすいません。OKです!わたしも自分のオリジナルキャラたちの世界を使うので、世界は全てリンクしているという前提(同じキャラや場所が出るかわかりませんが・・・)で書きます!

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-25 19:19
  • えかきゅーさん:返事ありがとうございます!
    お陰で物語の基盤は出来上がったので
    後は僕の全厨二妄そ...ゲフンゲフン
    全想像力で頑張ってやっていくので
    これからずっと宜しくお願いします!

    Key-tower
    男性/20歳/長野県
    2015-08-25 20:25
  • Key-towerくん:いいじゃないですか、厨二的な(笑)楽しみにしてます!こちらこそよろしくです〜。

    えかきゅー
    女性/23歳/東京都
    2015-08-26 16:40
(参考)お題の一覧。