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さかた校長へ。

さかた校長へ。
これからあなたへ手紙を書きます。
詩じゃないけど、一応ポエム掲示板に書き込みます。

校長。私のこと覚えてないですよね。逆電経験ないもん。
二代目いちごショートケーキです。
去年だったかな。9月入学についての授業で、夏の終わりに卒業式をしたら、先輩の第二ボタン下さい!がカッターシャツのボタンになるって書き込んで、それを初めて放送で校長に読んでもらったんです。
エピソード薄いなぁ…。
でもね。そんな些細なことでも、生徒にとってはかけがえのない思い出な訳ですよ。校長はこれまでたくさん授業して、たくさん逆電して、書き込み読んできたけど、私達にとったら毎日書き込んでも、毎回読まれる訳じゃないから。
だから私、すごく嬉しくて。何回もradikoで聞いてたんですよ。
今はスマホ持ってないから、高校生になったらスマホゲットして、たくさん書き込もうって決めてた。
さかた校長に、また書き込み読んでもらいたいって思ってた。なんならそれを楽しみに受験勉強してきたんです。
なのに。
校長。なんで。なんでなの。
冗談ですか。エイプリルフールは4月だよ。
笑ってさ、「ごめんごめん冗談w」って言ってよ。
ショックで、何にも気力起こらない。
今日の塾のテストで悪い点とったら校長のせいだから。
…私の努力不足です。はい。
本当にショックです。
校長が、それで校長らしく生きられるなら。
どこかで辛い思いをしないなら。
私達のことを恋しくならないなら。
(恋しくはなってもいいかな…)
この学校を離れることで絶対辛くてしんどい思いをしないなら、私は校長にお疲れ様でしたって言います。
辛いとかしんどいとか思うなら、じゃあ行かないでってなるから。
お疲れ様でしたなんて言えないよ。
僕はここでやりきったって宣言して下さい。
お願いしますよ。
私、さかた校長のこと応援してます。大好きです。
味方はこの学校にたくさんいます。その事を忘れないで。
あと数週間、よろしくお願いします。

追伸。私、9月30日にワクチン打ちます。怖いけど頑張ります。

二代目いちごショートケーキより

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サーカス小屋 #空中ブランコのクレオパトラ

「お願いだから、ここにいて」
「ひとりにしないで」
そんなセリフ、もうとっくに聞き飽きた。独りになりたくなくて、「みんな」に入りたいと願う人々は、その境界線に立ち尽くしていた私をマジョリティーに引きずり込み、自分の味方として背後にはり付けた。
 こんなに小さなサーカス小屋の中でも、格差は激しい。偉人の名を襲名した者には、絶対的な権利があった。だから、”クレオパトラ”である私もみんなの上に立つべきなのだけど、周囲が、空気が、それを拒んだ。
 私も特に抵抗せず、ゆらりゆらりと流されて、この境界まで来た。私自身も、それを望んでいた。
 中途半端なくらいが、ちょうどいいのだ。

 天井からぶら下がったブランコ。命綱なんかいらない。落ちて死ぬなら、それでいい。私は私の人生を、運命を、そのまま受け入れる。それはきっと、自分自身を肯定することにつながるはずだ。それが例え、絶望を招き、私を不幸に陥れるものだとしても。全部一緒くたに、そっと抱き寄せる。

 小さな小さなサーカス小屋。観客は100人もはいれば満員。でもその中で、私は空を飛べる。上を見上げても、見えるのは薄汚れた天井と、大きな照明機材だけ。私は、ブランコに乗れば、見たことのない海にだって潜れる。それは、とても美しいことだ。

 世界中を飛び回るサーカス小屋。
 街の人を虜にして、熱狂的に狂わせて、私達抜きでは生きられない体にしてから、その地を去る。あれは全部夢だったんじゃないか、と思うくらい突然に、足跡一つ、衣装の糸くず一つ残さず。
 一度行った地には、もう二度と行かない。それが私達の唯一のルールだ。これだけを守れば、あとはなんとかなる。外の世界も、そんなもんだろう。
 なんとかなるものなのだ。