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外の世界

「俺の生き甲斐は勉強」
ずっとそう思ってた
彼女と出逢うまでは

今日も部屋で集中して勉強
いい高校に受かるため
するといきなり
知らない女の子が話しかけてきた
白のフレアワンピースを身にまとい
ふわふわのショートボブで
汚れてない裸足
ここは2階だが
どこから来たんだろう
見た事あるような、見たことないような、
そんなのお構い無しに、君は俺に話しかける
俺の手を止めないでくれ
そう思いながら
君との会話を進めてゆく

あれ
なんだろう
すごく楽しい
君は超能力者のように
毎日楽しい話を俺にしてくる

翌日
俺は熱を出した
疲労が溜まりに溜まりまくってたらしい
明日には治ってるだろう
早く治して勉強だ

…1人の部屋って、こんなに広いっけ?
なんだろう、何かが足りない
心にポッカリと
何かが空いている

数日後
また君に逢った
そして君は
俺の気持ちなどお構い無しに
どんどん話しかけてくる
お願いだから勉強させてくれ
心のどこかでそう思っても
なぜか君がいるだけで楽しい

それにしても
君はなんで、いつも手ぶらなんだ?
そして、どうやってここに来たんだ?
ここは2階にある俺の部屋
いつも同じ白のフレアワンピース
1ミリも伸びてないショートボブ
汚れてない裸足

君と出逢って早半年
明らかにおかしい
俺は思い切ってきいた
「ねぇ、君は、どこから来たの?」
すると君は
しばらく間をとって答えた



「君の心だよ


君の心が泣いてるの


「俺は勉強しか出来ない男だ

他に何も持てていない

このままは、何か嫌だ

誰か助けて」って


だから、私は


君を助けに来たの


ずっと殻に閉じこもってる貴方を


引っ張り出すためにね」


あぁそうか、
俺はずっと
「勉強」って殻に閉じこもってたのか
確かに、周りなんてほぼ見てなかった
でも、彼女と話していると
だんだん周りを見れるようになっていた

彼女の正体は
「外の世界の妖精」
だったのかな

俺はそう思うと
5年ぶりに散歩に出掛けた

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オセロ

「寒い?」
「ううん。」
「暑い?」
「何もわからない。君って誰?」
「僕にもわからない。でも、僕と君はよく似てる」
「なんで分かるの?君は自分の顔がわかるの?」
「わかるよ。この部屋にはないけど、僕は鏡を見たことがある」
「カガミ?」
「知らない?世界を映してくれるもの」
「わからない。でも、いいものなんだね。カガミがあれば世界を見渡せるんだもの。」
「うーん…ちょっと違うかな。でもひとつ言えるのは、鏡に映る自分は左右反対の顔をしてる。」
「反対に映るの?」
「そうだよ。」
「じゃあカガミは嘘つきだね。」
「そうでもない。今見えてるものだけが正解ではないし。その気になれば正解なんてクルクルひっくり返せるからね」
「オセロみたいに?」
「そう。周りが黒になれば黒になるし、白になれば白になるんだ」
「オセロみたいだ!」
「そうだね。でも本当は、黒と白意外にもいろんな色があるんだよ」
「へぇ…君の世界はいいね。いろんな色が見えて。」
「そうかもね。ところで、この黒の白の薬は何?」
「わからない。でも。ほんとに黒と白かな?」
「さぁね。モノクロだからわからない。もしかしたら紺とピンクかも。茶色と黄色かもね」
「やっぱり、君の世界は羨ましいな。いろんな色が楽しめて」
「見たくない色も沢山あるんだけどね。」
「ねぇ。オセロ、する?」