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金ではない斧 銀より良い素材でできた斧

ある日、樵が森で木を切っていると、うっかり手が滑って斧を近くの沼に落としてしまいました。樵が、まずいなー、木って鉈だけで切れるのかなー、なんて考えていると、沼の中から老婆が斧っぽい物を三本持って現れました。
「何だこの婆ぁ?」
「あたしゃこの沼の女神だよ」
「嘘つけ。女神がこんな不細工なわけあるかよ」
「あァん?舐めとんかクソガキが。呪うぞ?」
「分かった分かった信じるから。で、何の用?」
「アンタの落とした斧があたしの住居破壊しに来たから文句言いに来たんだよ」
「ああ、そう。まあ良いや。斧返して」
「人の話を聞け」
「人じゃないじゃん」
「口の減らない奴だな。で、アンタの斧はこれらのうちどれだい?一つ目はこの古い石斧。二つ目はこの鉄斧。最後がこの良ーっく鍛錬された玉鋼の斧」
「ああー………。二つ目だな」
「そうかい。ならこれは返してやらないよ。使い慣れない他の斧使って、手にマメ作って苦労するが良いさ。イーッヒッヒッヒ」
沼の女神は、残り二つの斧を置いて消えてしまった。
どうやら石斧は歴史的価値のある物だったらしく博物館に売ったら良い金になった。玉鋼の斧はありがたく使わせてもらっている。前の斧より楽に切れる。
最近あの女神は良い奴だったんじゃないかと思うようになってきた。