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赤い蝶が舞う

「ねみぃなぁ」
思わず漏れた感想を紛らわすように携帯をつつく手のスピードを上げた
朝は嫌いだ
日光に全てを吸い取られる感覚がするしこれから長い時間集団生活に拘束されるのだと思うと気が重い
「おっはー.....って眠そうだね何時に寝たの?昨日」
正直初瀬の挨拶が若干目覚まし代わりになりつつある
「4時」
「寝てなすぎっしょ」
寝ないのは明日が来る事への抵抗かもしれない
日付が変わっても寝ない限り自分の中では1日が終わっていない気になれるから
でも結局日付は変わるし次の日眠いしで良いことは1つも無い
「じゃ行くか」
「おっす」
正直学校へ着いた後からは
放課後を迎えるまでほぼ記憶が無い
大体寝てたからだろうか
重い身体を起こし目を擦りながら文研部の部室へ歩みを進めていると
「どこだっけなぁ、えーんと」
僕の目の前で
見慣れた制服を来た見慣れない女の人がキョロキョロしていた
見慣れないという事は恐らくは上級生だと思うが
「おっ、人居た」
げっ、見つかった
と正直思ってしまった
関わらずに通り過ぎるつもりだったからだ
「キミ、キミ、キミ、特殊工作室ってこの棟の所にあるって聞いたんだけど知らんかな?」
「えっと、それなら外に見えるあのボロ小屋ですけど」
「えっ、外なの?マジかーミスったなこりゃ
ありがとう。じゃ、またねー」
そういうと見慣れない上級生は走り去って行った
廊下ダッシュ禁止
生徒指導部がこれでもかと貼っているポスターが如何に仕事をしていないか
「変な奴多いなここ」
ちなみに僕はこの後もっと変な奴らと出会う事になるがそれはまた次の機会に

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届いてほしい、この思い。

家族を失って分かった
この世界は案外もろいこと
常識なんてすぐにひっくり返ること
当たり前の毎日はないこと
私達の命は、奇跡だということ

家族を失って気づいた
あの人は愛しい人だったこと
憎まれ口の裏に愛情があったこと
私も本心では、あの人のことが大好きだったこと
言葉にしないだけだったこと

家族を失って実感した
人の支え合う姿は素敵だということ
全うした命は美しいこと
青い空はたまに皮肉だということ
本当に悲しいとき、涙は出ないこと

家族を失って伝えたくなった
家族を大切にして欲しいということ
言葉に出して伝えて欲しいということ
目の前で失われていく命は呆気ないということ
生きるのは難しいということ

だけど、全うした命は美しいということ


私は3月に祖母を亡くしました
3年の闘病生活の末でした
半年経った今でも、
時々悲しみが押し寄せて来ます

なぜ祖母が 病気と闘わなければならないのか
なぜ祖母に 私は何も出来ないのか
小学生の頭で考えて眠れない夜もありました

あなたにとって、大切な人は誰ですか
大切な人に言葉で伝えられていますか

「ありがとう」も素直に言えない
そんな世代の人もいると思います

現に自分もそうでした
祖母の優しさとは分かっていながら
口を開くと憎まれ口しか叩けない

いつか正直になろう
でもその「いつか」 はやって来ませんでした

後悔しても 反省しても
祖母は もう帰って来ません
だからこそ 私のような思いを
この掲示板の人には してもらいたくないのです


どうかお願いです
大切な人こそ素直になれないものですが
どうか言葉で伝えて下さい

大切な人はあなたのことを思って
言葉をかけてくれています
嫌味に聞こえてもそれは優しさです

あなたも大切な人も悪くありません
悪くないのです
どうか責めないで下さい

いつ大切な人と別れるかは分かりません
だからこそ今を大切にしましょう

多くの人とその大切な人が
幸せに暮らせますように

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届け。

側に行って
君の話を聞きたいのに
どうして出来ないの
僕が弱いから?

君の側にいてあげたいのに
優しい言葉をかけてあげたいのに
どうして出来ないの
僕が小さいから?

何も出来ない僕だけど
君に伝えたい想いは大きくて
誰にも負けない世界一だよ
君も負けないで

いつかきっと
君の世界も明るくなるから
暖かい日がやって来るから

僕もいつかきっと
君に会えると信じているから頑張れる

君はそれまで待ってて
ちっぽけで何も出来ない僕だけど
二人なら世界なんて恐くない

世界なんて恐くない


私はいじめが怖い。一人が怖い。
自分が標的になるのを恐れている。
SOL!にも、悩んでいる人がいるかもしれない。
そんな人を助けたい。
今辛い思いをしている人に会いに行きたい。
でも、それは出来ない。
この瞬間も、世界のどこかでしんどい思いをしている人がいる。
なのに私は、何も出来ない。
自分のちっぽけさに気づいた。
私に出来ること。それって何だろう。
掲示板に、書き込むこと?
伝えたい思いを込めて私はポエムを書いた。
誰かに届くことを願って。
綺麗事。あなたに辛さはわからない。
そう感じる人もいると思う。
私も全て理解している訳じゃない。
だけど、私の思いは本物。
伝わってほしい。
一人じゃないと分かってほしい。

少しでも多くの人に伝わりますように。
届きますように。

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赤い蝶が舞う

「とりあえず今日はここまでということで」
やっと解放される。何故ここで2時間近くも俺は時間を使ってしまったのだろうか
「葉山帰ろ」
「あぁ、帰ろう疲れた」
「そりゃこっちのセリフだ全く、私は顧問を探してから帰るじゃあな」
本当に強烈な女だ折紙は
今まで出会って来た誰よりも....
「敵に回したくないな」
「ん?なんてなんて?」
「なんでもない帰ろう」

季節は少しづつ春を置いて夏へと向かって確実に歩みを始めている
初瀬と初めて言葉を交わした時美しく舞っていた桜の花びら達
今は僕達がこの足で踏みしめている
「ごめんごめん教室に筆箱忘れてたよ、はは」
「取りに行くか?」
「そだね」
春は出会いの季節とはよく言ったものだ
入学から1ヶ月と経たずに高カロリーな出会いが2件もあった特に今日のは別格だ
「葉山明日何時に出るの?」
「そうだな多分7:00までには駅に居るよ」
「なら私は6:55までに」
「何故そこで張り合う」
「だっていつも先に居て暇そうな顔して待ってるでしょ?だから今度はこっちが暇そうな顔して待ってやろうと思ってね」
コイツいい笑顔してなんて地味な嫌がらせを
しかも5分の差ってコイツ絶対朝弱いな
「でも難しいね文化祭の展示考えるって」
「まぁ文研って話聞く限りじゃかなり特殊な部だしなそれに折紙じゃないが多分活動記録なんて大した物残ってないと思うぞ」
「やっぱそうなのかな」
「顧問が門田先生だ、記録なんてしてないだろ多分」
「確かにしてなそう、『記録?そんなもんお前らで適当にやれ俺は寝る』とか言いそうだし」
可愛らしい女の子から発せられたとは到底思えないくらいモッサりとした低い声で門田先生の口調を真似て初瀬が喋った
「すげぇ声」
「ふふっ、似てた?」
無邪気に笑いながらそう僕に問いかけて来た初瀬は皆んなに好かれている初瀬紗夜だった

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赤い蝶が舞う

「なんで僕がこんな目に」
「葉山ドンマイでも意外と楽しいから部長も面白いよ」
初瀬にフォローされながら僕は重い足取りで階段を上がりとある教室へ足を踏み入れる
旧校舎の4階で1番右隅にある名前の無い空き教室で文化研究部の部室である
なぜ僕がここに居るかはまた別の機会に
何故かと言うとそろそろ会議の時間なのだ

「よしそれでは今年の文化祭の展示内容を決めたいと思う何か意見のある者」
声の主は 折紙 舞姫
女性にしては低いが通りの良い声が教卓から放たれる
首元辺りでバッサリ切られた髪に小柄な見た目は活発そうな女の子という感じの風貌なのだが
全身から近寄り難いオーラを放っているのがなんとも言えない
僕と同じ1年で隣のクラスの要注意人物というのが
彼女に対する男共の認識だ
「おい 葉山聞いているのか」
「あぁ、展示ね展示、聞いてる聞いてる」
「はぁ 適当で良いと言ったがやる気ある奴で頼むとお願いしたはずなんだが....」
辺りを見渡しお探しの人物が居ないことを確認し
ため息をひとつ
「顧問は」
「部員探しの続きらしいよ」
「アレに任せていたら碌な人材が入らんな部員の方もこっちで考えないと小規模な展示しか出来ないな」
折紙の肝の据わり方も大概だが門田先生の信用の薄さの方も大概である
しかし折紙 舞姫という人間は
誰にでもぶっきらぼうな上
中学時代は空手で全国1位で戦闘力も抜群ときた
彼女に近寄るだけでもハードルがかなり高い(心理的に)
「それで過去にどんな展示をやったとか活動資料みたいなのは無い訳?」
「知らん、何せ顧問の私情で無理やり動かされ始めるような部活だ過去の活動記録なんてあっても役に立たないのは目に見えている」
「先代の部員が可哀想になるから止めろ」
「姫ちゃん毒舌だねぇ」
顧問 門田 善次郎
部長 折紙 舞姫、副部長 初瀬 紗夜、補欠 葉山 健也
というのが現 文化研究部の部員の面々である

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赤い蝶が舞う

大概人が持っている物は輝いて見える
私以外の世界は全て眩しい
葉山 健也
彼はきっと私と同じ世界の人間だと思う
そうあって欲しい
「ねぇ、葉山は誰かを羨ましいと思う事ある?」
「恥ずかし話俺は皆んなが羨ましいよ初瀬が居なきゃ3年間ぼっち確定だったしな感謝してるよ」
葉山は畏まってそう言った
「いやいや、私だって危うくぼっちコースだったんだよここ(泉西)に来たの私だけだもん」
「そうなんだ、まぁでも初瀬ならどこに行っても大丈夫なタイプだよ」
違うそれは私でなく私が作った私だ
全ては私が私を嫌いが故に作り出した偽物に過ぎない
「そんな事ないよ へへ」
笑っている私はどんな顔をしているだろう
綺麗な笑顔だろうか不自然でないだろうか
私はありとあらゆる事を気にして生きている
それ故に損をして来ている事を自覚しながら
私は恐怖の殻に包まれている
「じゃ俺そろそろ帰るけど初瀬はどうする?」
「委員会の仕事あるから今日は残るよ」
「そっかじゃあまた明日な」
「うん、では少年また明日も学校来いよコノヤロー」
「あぁ 少年は明日もきっちり登校してやるよコノヤロー」
笑顔で私のおふざけに付き合ってくれる彼を見て最近思う事がある
多分彼は笑顔でいる事が増えたはずだと
これは勘で出来る事なら当たって欲しくない
彼の殻を破ったもしくはヒビを入れたのが私であるという、いや正しくは偽物の私が彼の殻を破ったもしくは破る助けになったという事実
廊下を歩く彼に夕日が差し込んでいる
今の葉山は私にとって少し眩しい、と思う

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赤い蝶が舞う

入部希望期間が締め切られた
結局僕はどこにも所属しなかった
初瀬はというと
「えっ?私?私はね、文化研究部ってのに入ったよ」
いつもの笑顔はとっくに戻って来ていた
それに何となく安心した僕は文化研究部なる存在を知らなかったので聞いてみた
「何それ、そんなんあったの?」
「あるある、まぁ私も勧誘受けるまで全然知らなったけどね、へへ」
僕達が知らなかった訳は
僕らが入学するまで休部していたらしく
現在部員は初瀬含め1年2人だけの部らしい
「で、そんな限界集落みたいな部にどうやって勧誘された訳?」
「顧問の門田先生がね文研が動かないと野球部の顧問にされるから助けてくれってプラカード作って校舎を徘徊しててそれに捕まったの」
「シュールな話だな」
門田 善次郎
2年C組の担任で担当教科は国語
陽気さにかけては泉西校教員の中でもトップクラス
一応初瀬の話じゃ文化研究部の顧問らしい
見た目は完全に用務員の先生なのだが格好がスーツなので実に不自然で男女問わずそれをイジれるくらい気さくな人で生徒からの人気も男女問わず集めており多分教師の人気投票でもあれば1位は堅いのではと密かに思っている
大方野球部の顧問にされて試合や遠征とかで休みを潰されるのが嫌だったとかそんなとこだろう
疲れたと休みをくれが口癖なくらいの人だし
「門田先生入部希望者が2人居るって分かったら泣いてたって聞いたよ」
「なんて大人だよ....」
「はは、まぁまぁ人間っぽくて好きだけどね」

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春を告げる白い華

君が居なくなってもう半年くらいかな
今は冬で寒くて寒くて敵わない
なんとなく君の部屋だった場所に足を踏み入れ
以前聞いたことのあった日記の話を思い出して
悪いと思いながらこっそり見ていた保管場所の引き出しから取り出す
最後のページに僕は全てを掴まれた

「春の雪」
3/29
僕は遂に見た
春を告げる白い華を
空はオレンジに染まり日が沈むのを待っているという頃
つぼみがチラホラと見えるだけの桜の木の近くを通りかかった時
まだ散るには当分時間がかかりそうだなぁと思いながら
空を見上げている僕の目に飛び込んで来たのは
白い花弁が空を舞う姿
それはノノックと呼ばれる花で
春近くで特定の条件を満たした1日だけ花を咲かせ次の日には跡形もなく散ってしまうらしい
きっとそれは誰も知らない景色だとそう思った
こうして僕以外が見ることが無いような日記だけに残すのはあまりに綺麗過ぎたからかもしれないし
僕の中の思い出にしておきたかったのかも
それは花と言うより華だった
僕の頬に落ちたその華はとても暖かく優しさを形にしたみたいだった
殺伐とした世の中で美しく咲いて綺麗に散っていく
散っているのに華はどもまでも綺麗で優しくて暖かい
僕はその景色を死ぬまでに見れた事を人生で最大の自慢にしようと思った
僕の中で永遠に


君が最後に記した日記だ
残念ながら日記は君以外の僕が見てしまったけど
君しか知らないこの景色を僕はどうしようもなく見たくなった
君が言う人生の自慢を僕も作れたら良いと思った

空はオレンジに染まり夜の訪れを待っている
君が見た白い華はこんな空を舞っていたのだろうか
そこに手を伸ばせば君が立っている気がした
春を告げる白い華に魅入られていたあの時の君がそこに
居る気がした



・・・・・・

Hollow Veil/nonoc

nonocさんという方のHollow Veilという曲を僕が勝手にストーリーにしました
短時間で作り上げたものですがもし良いねと思ったらスタンプを押して行ってください
僕が一人で悲しく喜びますので笑
という事で
このシリーズ気が向いたら続けます
多分その内曲のリクエスト聞いたりするかもしないかも
ではまた

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プレゼント

知っている知っていた
「私最初から狂ってたんだ」
空虚な笑みを浮かべながらそう言う君を
見た事があった
俺はきっと気づいていたんだ
この子は普通ではないということに
気づいていながら気づいてない振りをしていた
君の為に?いや誰の為でもない俺自身の為に
今日の空は晴れている雲ひとつない
気持ち悪いくらい真っ青な空の下
今さら問うことさえ無駄な質問を彼女に投げかけるそれは多分どこかでまだこのやり取りが夢であるというありもしないオチが待っていると信じたかったのだろう
「いつからなんだ...」
彼女は淡々とそれでも内の中では何かを禍々しいモノを燃やしているような瞳で俺を見据え答えた
「最近からって言ってるじゃない全部初めからこうなる為に進んでたんだよ君が信じていた私は初めから君の中にしか居ない都合の良い幻だったの」
世界は不幸が連なり不幸の生け贄になった者達の血で出来ている
そんな論文を俺はどこかで目にした事を思い出していた
その論文にはこう記載されていた
世界に存在する幸福とは全て現実逃避が生み出す個人にとって最も都合の良い幻である

俺にとってのそれは目の前の彼女だ
俺を地獄から救い出してくれた心の底から好きになった
こんな俺でも誰かのヒーローになりたいと思えるのだとなれるのだと君は教えてくれた
君は俺が理不尽と戦う事が出来た原動力そのものだった
だけど
君という存在は俺の現実逃避が生み出した理不尽に理想という幻の衣を纏わせた死神だった
「これが私から君への最初で最後のプレゼントだよ私を好きになってくれてありがとうそして永遠に
おやすみなさい さよなら」

首に冷たい物が触れた
そして
最愛の人がくれた最初で最後のプレゼントで俺は終わった