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復讐代行 あとがき

復讐代行を読んでくださった皆さん!
本当にありがとうございます!
当初の予定よりも長くなり、更新の空く期間もあり
と散々な形ではありますが
先程の最終話を持って無事に完結しました!
皆さんいかがだったでしょうか?

今作は初め、「宇宙を駆けるよだか」という作品を見てこんな設定の作品を書いてみたいなぁというところから始まりました。
この作品はクラスでブスといじめられる女子と主人公が入れ替わる物語で、ただパクるのもつまらないので、主人公の方を男にしてみました。
ですが
「いじめ」をテーマにするとついつい色々詰め込みたくなるのが悪い癖ですね笑
登場人物それぞれに考えがあるようにして自分の中にある全てを書こうとも思ったのですが長くなるので避けました。なので実はまだ小橋と橘のお話が少し残ってます
もしかしたら来週辺り書くかもしれません。
最終的に書きたかったこととしては
「いじめ」は人を壊してしまう。
それは時に、優しさすら信じられなくなるほどに
でもその優しさを信じることこそが生きる希望
それをどうか自分の中に確かに持っていて欲しい

ちょっと隠しすぎたかな?
あんまりまっすぐだとクサくなっちゃうから
少し遠回しにしたり、素直な言い方をしなかったり
そんな僕の小説…に限らず詩も
これからも楽しんで頂けたら幸いです

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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 肆

「ネコっちゃネコだが…こりゃ異能に操られたネコだな」
黒いボロ布の姿をしていたモノがカラスの姿に戻って言う。
「お前の実家はこの世の裏で活動する異能者とも繋がってるから、さしずめそういうのを雇ってお前に差し向けたんだろう」
カラスは羽繕いをしながら言った。
「…」
黒羽は息絶えたネコに手を伸ばそうとした。
「おっと、ソレには触らない方がいいぜ」
カラスに言われて、黒羽はぴたと手を止める。
「…周りに少なく見積もって十数体、コイツみたいなのがいる」
確実にお前を狙ってるぜ、とカラスは黒羽の肩に飛び移る。
「抜け道も塞がれて、逃げ場もない」
カラスは黒羽の耳元で囁いた。
「じゃあどうしたら…」
「どうしたらって、オレ様がなんとかしてやるよ‼︎」
そう言ってカラスは飛び立つ。
それと共にカラスの姿は大型犬の姿に変わった。
「ニ゛ャー‼︎」
直後に周囲の物陰からネコが飛びかかってくる。
「黒羽!お前は物陰にでも隠れてろ!」
大型犬に怒鳴られて、黒羽はうん、と近くの建物の陰に隠れようとする。
しかしその建物の陰からネコが飛び出してきた。
「ニ゛ャー‼︎」
「⁈」
黒羽は後ずさろうとして足元の小石につまずき、後ろに向かって倒れる。
「しまった!」
大型犬がそう叫ぶ声が聞こえたような気がしたが、黒羽の意識はすぐに遠のいた。

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Trans Far-East Travelogue㉜

おおむね定刻通り、正確には30秒遅れで俺達を乗せた電車は横須賀中央の1番ホームに滑り込む
「懐かしいなぁ…高校の卒業旅行以来か〜」
思わずそう呟くと嫁が「高校の卒業旅行?そう言えば中学時代の卒業旅行は聞いたことあるけど高校時代は聞いたことなかった」と言って上目遣いになってるので歩きながら話すことに
「俺が君に恋しても会えなくて、一時期めちゃくちゃ苦しんだことは話したっけ?」と訊くと「それは聞いたよ。確か、あまりにも辛くて傷心旅行であの鉄道旅行ったんでしょ?」と返ってきたので「そうだよ。でも、話はあの旅の前に遡る。俺は元々福岡に行く予定だったんだけど、母さんがどうしても韓国の親戚に会いたがってて、それで韓国に行ったんだ。その時、韓国の南海岸に行くことになったから、釜山の港から福岡まで俺だけ船で行く予定を考えたんだけど、宿が取れなくて、高速バスも取れないし、なんなら新幹線はグリーン車しか空いてない、飛行機もダメで帰京できなくて諦めたんだ…それで、仕方ないから中学時代のメンバーで当時の場所を巡るというのを一気に前倒しして、2月のうちに、河津桜と菜の花が咲き誇る綺麗なうちに行くことを提案した。でも、メンバーの1人が勝手に先輩たちに呼びかけて3月に延ばすわ、他の1人は俺が韓国に飛ぶその日しか予定が空いてないって言われてヤケクソになって自分だけ行ったんだ」と言うと嫁は黙って聴いてる
続けて、「その時も今と同じ『みさきまぐろきっぷ』で横須賀中央で途中下車して三笠に行った。
そこのモールス信号打電体験ブースが空いてたから、長文だけど『キュウシュウノ,フクオカニイルアノコニアイタイ。ソシテ、アノコニアエタラ、イマデモダイスキダ。オレハキミノシアワセヲイノッテイルガ、モシコンナオレデモスキデイテクレルノナラ、カノジョニナッテクダサイ。ソノトキマデマッテマストツタエタイ。ハヤク、キミニアイタイ』と打ったんだ。そしたら、自分でも知らないうちに大好きな君と結ばれて、君は俺の彼女になるどころか今じゃ大好きな奥さんになってるんだ。全く、運命ってのは何があるか分からないな」と言って笑うと嫁が「伝えたいことはあるけど、直接じゃ恥ずかしいからモールス使うね」と囁くので何を言われるのかドキドキしながら記念艦に入ると嫁がモールスを早速打っている
その姿は陽の光を浴びる海面に反射して輝いている

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