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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ⑦

「”ロヴィン”、ね…」
塾からの帰り道、わたしは何気なく昨日聞いた言葉を思い出していた。
気付けば辺りは薄暗く、雨も降り出している。
”ロヴィン”、人名のようだけど、何の事だろう。
すごく気になるけれど、それについて話していたあの2人は答えそうにないな、とわたしは傘を差しながら思った。
ネロは、は? 別に良いじゃんって言ってきそうだし、黎はトコトン沈黙し続けるだろうし。
…そういえば、どうして黎はあんなにも喋らないのだろう。
わたしはふと立ち止まる。
ああいう人、時々いるから別におかしいことではない。
ただ…
「話す気ない、ね…」
わたしは昨日彼に言われた事を思い返した。
こっちからしたら、かなりグサッと来る発言だ。
でも、そこまで言う必要あるだろうか?

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エピソード0

魔法のキノコの森。ここはそういう名前らしい。気づいたらここに倒れていたらしい。
いつからここにいたんだろう?私はなんでここに?思い出そうとすると頭が痛い。
すると、中からこの家の住人のキノノが言った。
『洗濯物、乾いたよ!ここに置いておくからね。』私は、『ありがとうございます。助かります。』と言った。
『いいんだよ!遠慮しないでいいし、敬語使わなくていいからね!』少し覗くと、キノノが魔法を使って他の洗濯物を乾かしている。
どうやったら、乾くのか?私は知っているように感じるが、なぜか思い出せない。
キノノは言った。『少し話すけど、君はどこのキノコだい?ここではあまりみないけど?』
『私は。。。キノコではないです。。。と思います。』私は、ちょっと言い淀んだ。
『そうなのかい?ふうん。。。君は思い出せないって言ってたね?じゃあ私が魔法で君の頭の中をみてあげる。いくよ!』
キノノはそう言うと魔法のキノコを出した。『なんだいこれは!?鍵がかかってる!私に見えないものはないのに!どうして!』
キノノはその場で崩れ落ちてびっくりしている。なんだろう。このざわめきは。

エピソード0。完。

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卒業

もしもあの人と同い年だったら


第二ボタンください とか言ってたのかな



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No war

なぜ平和が訪れないのか
なぜ同じ人同士で傷つけ合うのか。
なぜ殺し合うのか
どれだけ武器を作るか
どれだけ脅せばいいのか
どれだけ領土があればいいのか
希望が欲望になり野望になる。そして失望する
どれだけ軍を持てば良いのか
どれだけののしりあえばいいのか
どれだけ反省すればいいのか
戦争はあってはいけない  No war 平和と健康を全ての生き物に

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頭痛薬

これは
いつかの記憶
うまく飲み込めずに溶けた頭痛薬が
喉を焼いて
苦しさがさらに追加されて
ただひたすら耐える深夜の台所
わかってくれる人は
その時期は遠くにいて
苦しみの孤独を
薬の味とともに味わった

なぜ今あの薬の味を
思い出したのだろうか

2

片隅

絶え間なく流れてくる情報と
漠然とした不安と
それに伴って押し寄せる感情。
歳だけ重ねて
少しも追いつかない心。
“最後だからみんなで”が合言葉。
それを拒む私は溢れ者。

私はただ、この世界の片隅で、
静かに、移り変わりを眺めていたいだけなのに。

1

私のせいで

私と君の間に見えない分厚い壁ができた。
何も話さなくなった。
遠くから見つめるしかなかった。
でも、無意識に私も避けてしまう。
冷たく当たってしまう。
もう、あの頃には戻れない。
君は私の隣で笑ってほしかった。
君は私の事なんて眼中になかったんだよね。
全部、私のせいだ。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 7.サイレントレイヴン ⑥

「でも、いくら仲が良くてもあえて知らないままにしてる事もあるんだけどな~」
暗黙の了解的な奴で、と耀平は続ける。
「だからあんまり黎に干渉し過ぎるなよ」
異能力の存在全般に言える事だが、と付け足す耀平の顔から微かに笑みが消えた気がした。
…確かに、”常人”であるわたしが異能力に関わり過ぎてしまうのは、少しアウトかもしれない。
でも、それはそれで楽しいと思うから、わたしは彼らと関わっているのだけど。
「…あ、そう言えば黎」
不意に何かを思い出したようにネロが言った。
「”ロヴィン”見つかった?」
黎はちらっとネロの方に視線を向ける。
「…まだ」
ネロはそっかーとだけ答えた。
何の話してるんだろ、とわたしはつい思った。
しかし、ちょうど師郎が何やら喋り出したので、そちらの方に意識が向いてしまい、すぐにその事を忘れてしまった。

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卒業

校舎の影 コンクリの上 的を射ない空気
幻とリアルな気持 感じてた
教室のいつもの席に座り チャイムが響く
何に従い 従うべきか考える間もなく
ザワつく心 今 僕にあるもの
意味無く思えて 留まる…
ことも許されない
そんな世界で
評価されるのは行儀良さなのか

持て余した“自由”は“銃”となり
解り合えない大人達に逆らうことしか知らずに
僕らは一体何者になるのだろうか

もう学校は支配の代名詞では無くなった
僕らは一体何から卒業するのだろう…

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卒業

泣けない自分は
悲しむものだとばかり
義務的だとばかり
さみしいものだとばかり思っていたけれど

きみは成長したんだよという証明書を片手に
笑いあうわけでもなく3人でいられていると思うと
とても幸せ

だから、これはきっと祝うべきなのだろう

卒業おめでとうございます
何か次のステージがあってもなくても
そこがあなたにとって良いものでありますように