表示件数
0

ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 17.ヨウコ ②

どうして、あの少女はわたし達に襲いかかってきたのだろう。
何で、”彼ら”はあの少女を恐れていたのだろう。
そして、”彼ら”はあの後どうなったのだろうか?
考えれば考える程に、謎は深まるばかりだ。
「…大丈夫かな」
わたしは急に”彼ら”のことが心配になって、ポツリと呟く。
”彼ら”は他の異能力者より強いと言われているが、あの少女を恐れていた所を見るとどうなったのか不安になる。
「…」
”彼ら”を探しに行こう、わたしはふと思い立った。
”彼ら”の連絡先とかはよく知らないけれど、この行ける場所が限られている寿々谷のことだ。
探せば見つかるに違いない。
「じゃあ、行こう」
誰に言うまでもなくわたしは呟くと、ショッピングモールの屋上の片隅から歩き出した。

0

Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑪

「さて……」
凄まじい殺気を放ちながらローズを自分の背後に庇い、ルチルは二人に相対する。
「ローズちゃんは、本来ならこんな簡単にやられるような奴じゃない。貴様らがどんな卑怯な手を使ったのかは知らないが……肉片の一片すら残ると思うなよ?」
「ふむ、何をそこまで激怒しているのやら……我が同胞を2対1で下しておいて、卑怯はそちらだろう?」
“天鉄刀”テーナイトは呆れたように言い返す。
「黙れ! 私の仲間をあんな目に遭わせておいて!」
ルチルの放つ水晶柱を、テーナイトは隕鉄で迎撃し、1発残らず叩き落す。
「アメシストは! 両腕と片脚を失って“流星刀”に手傷の一つも負わせられなかったんだぞ! あれが『卑怯』であってたまるか!」
最大出力の水晶柱を3発生成し、超高速で叩き込む。
「ほう! 我らの鍛造技術はそこまで圧倒的だったか! 嬉しい事実が聞けたなァ?」
テーナイトは高笑いし、巨大な隕鉄塊1つで全てを押し返した。
それでも落下運動を続ける隕鉄塊に引き続き水晶柱をぶつけ続けるが、隕鉄塊の硬度と質量に弾かれ、その威力は全く減少しない。
隕鉄塊は全てを粉砕して尚止まること無く、落下地点にいたルチルとローズをも巻き込んで地表に衝突した。

0

Metallevma:GRANDIDIERITE Ⅻ

「この子は、当分あたしらが預かるよ」
んで今度ミクロコスモスの有力者でどこの一族のナワバリに住ませるか話し合おう、とルビーは顔を上げる。
「そうすればクリスタルの思惑通りにはならないでしょ」
ルビーがそう言うと、エメラルドはそうねと頷く。
「その方が争いは避けられそうだし」
やたらめったら争うのも、疲れちゃうしねとエメラルドは微笑む。
「…てな訳で君は今日から当分の間あたしらのトコで暮らすことになったから!」
よろしく〜とグランディディエライトにルビーは笑いかける。
「え」
ちょっと…とグランディディエライトは唖然とする。
「じゃ、あたしらはこの辺で」
行くよサファイア、“グラン”とルビーは元来た道へ戻ろうとする。
「うん」
サファイアはそう頷いてルビーの後に続く。
「ぐ、“グラン”?」
“グラン”と呼ばれたグランディディエライトは困惑する。
「ほら、行くよ」
ルビーがそう振り向きざまに言ってきたので、グランはあ、うんとその後を追った。
エメラルドとゴシェナイトはその様子を静かに見届けた。

〈おわり〉