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LOST MEMORIES ⅨⅩⅢ

きっと、瑛瑠が驚き、それでもはにかむように微笑んでいたことに気付いたのだろう。
少し自嘲気味の笑みを溢したチャールズ。
「ですから、お嬢さまにもきっとそんな存在が現れますよ。」
ここへ持っていきたかったらしい。見事な帰着に瑛瑠もにっこりする。
確証もないありがちな言葉は、今の瑛瑠にとって何よりも嬉しいものであった。
「チャールズから自分の話をするのは初めてだったから、嬉しかった。」
ぽろっと零れた言葉がチャールズに苦笑をもたらした。
「少々語りすぎました、すみません。」
瑛瑠がいかにも興味津々といったように碧い眼を覗きこむ。
「個人的興味として、チャールズの恋愛を聞きたいのですがっ……!」
そんな瑛瑠をいつものように
「はいはい、それはまたの機会に」
とあしらっていたのだが、言いかけて止まる。
すると、微笑んで言うのだ。
「お子サマには少々刺激が強すぎると思われるので話せません。」
成人したらお話ししてあげてもいいですよ?と、そんなことを口走る。その笑みがあまりに魅惑的であてられそうになった瑛瑠は、顔を引きつらせておやすみと言わざるを得なくなった。

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