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LOST MEMORIES CⅥⅩ

すっかりご機嫌斜めな祝瑛瑠さん。
しかし、目的があって彼のところへ来たのを思い出しました。
「あの、英人さん。」
声を発したものの、どこから聞こうかという思考へと足を突っ込んでしまった瑛瑠。
本当に確かめたかったこと、それは夢の内容。10年前のこと、英人のこと、会ったことがあるのかということ、イニシエーションのこと。
どれも重い。そして、できれば時間をとって話したいことだ。
「瑛瑠?」
「英人さんには、」
軽くて、yes/noで答えられ、導入にもなる質問。あるではないか。
「お姉さんはいらっしゃいますか?」
英人は訝しげにこちらを見る。たしかに、家族のことに関してはいきなりではあったかもしれないと、音にしてから反省する。ある意味で踏み込んだかもしれない。しかし、これが導入になるのだから、答えさせなければならない。
「それも、10歳ほど年の離れた。」
今度は目を丸くする。
沈黙は肯定ととるぞ、イケメンヴァンパイア霧英人。
しかし彼から出た言葉は、予想を見事に裏切ってくれた。
「僕に姉なんていない。」

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