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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 2.コマイヌ ⑱

コマイヌは別に足元を気にすることもなく、スタスタと進んで行く。
最初は適当に歩いているようにしか見えなかったけれど、彼が進む場所が、わたしがあの休憩スペースに来るまでに歩いてきた道とだんだん一致してきた時、本当に彼は、わたしが移動してきた道筋を見ているのだと思った。
彼に見える風景は、わたしが見ているものと、全く違うとも思った。
そしてネクロマンサーにも、コマイヌともわたしとも違うものが見えているのだ。
そう考えると、彼らに見えている世界はどんなものなのか気になった。でも今聞くとまた怒られるだろうから、聞きたい気持ちをぐっとこらえた。
ふと、コマイヌが足を止めた。
「ここ…”道”が分かれてる」
「あーそっか…じゃこっちの”記憶”は本人のかな」
ネクロマンサーは広い通路の床を指さした。
「そーだな、こっちの”道”は濃い…多分そっちだな、細いし、薄いし…”道”が不規則だから、落ちたストラップの軌跡に間違いない」
そうブツブツと話し合う2人を前に、わたしはちょっと首を傾げた。
「…ストラップ、移動してるの?」
ネクロマンサーとコマイヌが振り向いた。

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