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夜がくる

始まりから始まるとも限らず
終わりが終わりだとも限らず
むしろ何かが終わってようやく始まり
始まったはずなのに終わっていたりする

誰もが待ち焦がれた夏の匂いは
僕にとっては終わりの香りで
くすぶる思い出と燃えかすの後悔と
今まさに燃え盛る記憶を見つめる

だめだよ、そんな所にいちゃ
煙を吸い込んでしまうよ
僕がそう言うのに君は
頑なに動こうとしないから
仕方なく僕も隣に座り込んで
クラクラするような煙を
胸いっぱいに吸い込んで
むせた

思い出は消えていくのに
記憶は僕のかかとを掴んで
いつまでも離れずに
引きずられながら着いてくる

どうせ忘れてしまうんだもの
そう未来の僕に期待して
忘れてもいいような日々を
泣きそうになりながら
吐きそうになりながら
今日もまた這いずって
東から昇る夜と邂逅する

ようやく夜がくる

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