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緋い魔女 Act 40

「‼︎」
辺りは一面の雪景色だから、雪に埋まっている石にでも躓いたのだろう。
グレートヒェンはそのまま転んでしまった。
「まさかね…」
グレートヒェンはそう呟きながら起き上がり、背後を見た。
後ろからはあの精霊が迫って来る。
「こうなったら一か八か!」
そう言ってグレートヒェンは懐から短剣を取り出した。
丁度その時、目の前に黒い影が飛び込んで来た。
黒い影は雪原に舞い降りながら、手に持つ黒鉄色の鎌を振りかざす。
突然の攻撃を受けた精霊は唸りながら後ずさった。
「お、お前‼︎」
グレートヒェンは黒い影が着地すると共にそう声を上げた。
いつの間にか外套を脱ぎ捨てていたナツィは無言で振り向く。
その背には蝙蝠のような黒い翼が生えていた。
「…何コケてんだよ」
死ぬ気か、とナツィはグレートヒェンに冷ややかな視線を送る。
「仕方ないじゃない」
ここまでは考えてなかったもの、とグレートヒェンは笑う。
ふーん、とナツィは流した。

  • 緋い魔女
  • 祝!40回目突破!
  • そして年内の完結は不可能と判明(笑)
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