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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 8.イービルウルフ ⑱

え、とわたしは絶句する。
「最初にターゲットはアイツらって言ったのは、実はウソ」
本当は何も関係のない人間だよ、と師郎は笑った。
「最初から俺らが狙っていたのは、お前さんの背中だったのさ」
騙してスマンな、と師郎は謝った。
「じゃあわたしに審査員を頼んだのは…」
「お前さんを確実に呼ぶための口実」
師郎にそう言われて、わたしはえぇ…と呟く。
「まぁ、こっちも騙して申し訳ないとは思ってる」
でも稲荷がお前さんに会ってみたいと聞かなくてなぁ…と師郎は苦笑する。
稲荷さんはちょっと、と言いかけたが、すぐに諦めたような顔をした。
「…まぁ、私がアナタに会ってみたいって言ったのも、アナタを対決に巻き込んだ原因なのだけどね」
だから私からも、ごめんなさい、と稲荷さんは頭を下げた。
「でも、面白かったわ」
稲荷さんは顔を上げるとぱっと笑顔を見せる。

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