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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 15.オーベロン ⑧

「…別に」
何でもない、とネロはそっぽを向いたまま言う。
「何でもないって…」
耀平は呆れたように呟く。
「なぁネロ、どうしたんだ?」
耀平が心配してるぞ、と師郎もネロに尋ねる。
「…」
ネロは何とも言えない顔でこちらを見る。
「ちょっと、調子が良くないだけ」
ネロはポツリとこぼした。
「…ホントに?」
耀平は訝しげな顔をする。
「ちょっと調子が乗らないだけだよ」
ネロはそう言ってまたそっぽを向いた。
「…」
その場に微妙な沈黙が流れる。
誰もがその気まずさに耐えられなくなった時、ネロが不意にこう言った。
「ボクトイレ行ってくる」
え、あ、良いけど…と耀平は返す。
彼が言い終わらない内に、ネロは歩き出していた。

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