0

鏡界輝譚スパークラー:陰鬱プロフェッサー その①

「やァ、今日も来たね、親友」
いつも通りノックも無しに自室に入ってきたその青年、三色吉代(みいろ・よしろ)に目も向けず、モニターに向かってキーボードを叩きながら村崎明晶(むらさき・あきら)は親し気に話しかけた。
「ああ。しかしこの小屋、そろそろ限界なんじゃないか? 周りのカゲの数やばかったぞ」
「ははは、つまり『カゲ除け』は上手く動いていてくれてるわけだ。君のお陰だね」
「あとプロフ」
「『プロフェッサー・アメシスト』ね。変な略し方しないでよ。……で、何だい親友」
「実験台に親し気な呼び方して警戒心解こうと思ってるなら無駄だぞ。俺はもうあんたにすっかり慣れちまってるんだからな」
「ははは、すっかり癖になっててね。……けど、ワタシは本当に君のこと、親友だと思ってるんだよ? だってさ」
そこで一瞬言葉を切り、自分の座ったキャスター付きの椅子をずらし、監視カメラの映像が映ったモニターを吉代に見せるようにしながら言葉を続ける。
「この村が『こんなこと』になっちゃってから、ずっと一緒に戦ってくれてる唯一の戦友なんだから」
モニターの中には、村中のあらゆる場所を埋め尽くす無数のカゲと、9割方カゲに飲まれ、廃村とすら呼べない有様の『村だったもの』が映されていた。

  • 1作目完結前に掟破りの2作目だとォ⁉
  • 誰も呼んでくれないプロフェッサーの名
  • 鏡界輝譚スパークラー
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。