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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 20.エインセル ⑨

「おい、どうした?」
師郎がポツリと尋ねたので、わたしはハッとして彼らの方を見る。
「あ、いや…あそこ!」
わたしが十字路の奥を指さすと、ネロ達もその方角を見る。
わたしも路地の奥を再度見たが、そこには誰もいなかった。
「あれ…?」
わたしは思わず首を傾げる。
さっきまでそこに”わたし”がいたのに…
「何もいねーぞ」
「見間違いじゃね?」
師郎と耀平はそれぞれそこぼす。
「何だよ、てっきりヴァンピレスだと思ったじゃねーかー」
ネロは不満気に言って両手を後頭部に回す。
「で、でもいたんだよ」
わたしのそっくりさ…と言いかけた所で、不意に高笑いが聞こえた。

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