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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 20.エインセル ⑫

しかし目の前の十字路にさしかかった所でわたしはぴたと足を止める。
視線を感じてハッと右手側を見ると、路地の奥に”わたしと瓜二つの人物”が立っていた。
「え」
わたしが思わずそう呟くと、先を歩く耀平達も足を止めた。
「どうした?」
耀平がそう尋ねてきたので、わたしはあそこ!と路地の奥を指さす。
しかし耀平達が路地の奥を覗き見た頃には、そこに誰もいなかった。
「誰もいねーぞ」
「さっきから多いよな、そう言うの」
耀平と師郎がそれぞれ呟く。
「またそっくりさんって奴かい?」
師郎がそう聞くので、わたしはうんとうなずく。
「…そっくりさん、か」
不意に雪葉がポツリと呟いたので、わたし達は彼女に目を向ける。
雪葉はわたし達の視線を感じて、あぁこっちの話と手を振る。
「何、心当たりでもあるのか?」
耀平がそう尋ねると、雪葉はまぁねと答える。
「心当たりがあると言うか、そういう事ができる人を知っていると言うか」
雪葉がそう言うと、穂積はそれって…と言いかける。
雪葉は穂積に目を向けるとこう笑いかけた。
「…まぁ、そういう事さ」
雪葉はそう言って上着のポケットからスマホを取り出した。

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