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視える世界を超えて エピソード8:雷獣 その④

昼休みの種枚さんと白神さんの様子、何というか、違和感があるように思えた。2人がかち合った瞬間、空気が重くなったような、嫌な感じだった。
結局あの場のストレスを引きずっていたのか、4限の講義もあまり集中して受けられなかったし……。
そういえば白神さんも、たしか今日は4限までだったっけ。
「…………5限、サボるか」
そう決心し、講義棟から急ぎ足で出て、まっすぐ正門に向かった。
どうやらタイミングとしては完璧だったみたいで、少し先を歩く白神さんの後ろ姿が見えた。
歩調を早めて、追いつこうと試みる。そして、彼女に続いて正門をくぐろうとして、自然と足が止まった。
白神さんの目の前に、種枚さんが立っている。種枚さんはフードを深く被っていて表情は分からないけれど、何か話しているらしい。
何となく近づけずに距離を取って見ていると、いくらか言葉を交わしてから二人は連れ立って歩きだした。見失ってはいけない気がして、距離を取ったまま後を追う。

2人が向かった先は、自分が鎌鼬くんと初めて遭遇したあの公園だった。その敷地内には日没直前とはいえまだ少し人が残っている。いくら種枚さんといえど、まさか白神さん相手に荒っぽい真似をすることは無いだろう。
きっと大丈夫だと心の中で自分に言い聞かせ、どんどん奥の人目に付かない場所に入っていく二人の尾行を再開した。

  • 視える世界を超えて
  • 千葉さん悪い子
  • 行くなホモサピぃ!
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