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深夜の迷子 宵_2

「きゃっ!?」
素っ頓狂な声を上げたゆずを、せんちゃんはそのまま背中側に隠す。
「なっ…なに、なに!?」
「あれ見える?」
せんちゃんが指を指す先には、顔のない巨大な六本足の蜥蜴らしき生き物がいた。頭と思われるところには大きな口、背中と思われるところには墓が生えるようにいくつも建っている。
「うぇえぇええ…なにあれ…」
「あれは、なんというか…神隠しそのものというか…多分、ゆずのことを迎えにきたんだな」
『神隠し』は尻尾をずるずる引きずり、段々と速度を上げて近づいてくる。
「ひっ…」
「くっそ…なんで目も鼻も耳もないくせにこっちの場所が分かるんだか…」
せんちゃんはゆずを抱きあげ、木の上に素早く登った。
「私にちゃんと捕まっといて」
ゆずは何度もこくこく頷く。と同時に、『神隠し』が木を這い上がってきた。
「あ、やっぱ嘘」
「えっ」
せんちゃんは立ち上がり、ゆずを文字通り振り回す。
「あわわわわ…」
「そいっ!」
せんちゃんはゆずを、投げた。
「きゃああああああ!?」

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