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鉄路の魔女 「眠り」 1

「おねぇちゃんはさ、どうしてさいきんへんになっちゃったの?」
「そう?変、かな?」
「うん、なんか、つかれたおとーさんみたいになっちゃってるよ。」
「そうなの?」
「うん!だから、きっと、びーるのんだらなおるね!」
「そっか。」
「うん!じゃあ、おねぇちゃん、またね〜!」

山吹は小さな男の子に軽く手を振って見送り、溜め息を一つ吐いた。
そのまま振り返り、黙って線路へ飛び降りる。
ふわり、とスカートのリボンが揺れる。
山吹の身につけているものは、どれもこれも少し古いものだ。が、不思議と不潔感や古臭さを感じない。
早朝のほぼ無人の駅。
唯一人のいるホームへ目をやる。
白髪混じりの頭の、和服の女性。
今度は、そちらのホームへと歩き始める。

(...どうせ見えていないのだろうな。)

山吹たち「鉄路の魔女」は、子供にしか認識・接触できない。
稀にできる大人も居るそうだが、片田舎のこの駅では会えないだろう。

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