0

深夜の迷子 夜中

「…迷った」
「え?」
突然の発言にゆずは目を丸くした。
「こんなこと今までなかったんだが…うーん…」
「じゃあ今ここが山のどの辺かもわからない?」
「そろそろ下山くらいの場所だったはずだけど。まあ安全な道は遠回りしなきゃならないから近くはないかも」
せんちゃんは歩みを止めた。
「…『神隠し』がいる」
その言葉に一気に空間が冷えた。しかし、耳を澄ましても鼻を鳴らしても、気配すら感じない。
「どこ?」
「…」
「せんちゃん?」
せんちゃんはいきなりゆずの手を引いて走りだした。
「ゆず、見えないのか」
「え?い、いるの?」
「いる。後ろだよ、結構離れてるから簡単に撒けると思うけど…」
前遭ったときは見えた。匂いもした。音もした。でも今は気配すら感じない。ゆずは根拠のない違和感を覚えた。彼女の人生を支えてきた勘が、せんちゃんが目指す方向は危ないと告げている。
「っ…ま、待っ…て!」

  • 新しい話思いつかんよ()
  • なにを目指した話なのか
レスを書き込む

この書き込みにレスをつけるにはログインが必要です。