いえ、本当にふくろうになってしまいました。
いつの間に。まあ人語を解せるのだからべつに問題なかろう。
困りますよ、明日デートなのに。
むしろ前よりイケメンだ。
動物じゃレストランに入れないっす。
そういう問題か?
予約しといたのになあ。キャンセル料とられちゃうかなあ。
二人ぐらいじゃキャンセル料は発生しないだろう。
ずっと前からねらってた娘なんですよ。
心配するな。その娘はバイト先の居酒屋で知り合った王子様とよろしくやっている。
なんでそんなことわかるんですか?
君はわたしの創造物だからだ。
そういやそうだった。創造主なんだからハッピーエンドにしてくださいよ。
そんなわけで、わたしはいま、人語を解するつがいのふくろうと暮らしている。
夜はこわい
考えがどんどん悪い方向にいってしまう...
不安になって眠れない
朝になると不安の上に笑顔を張り付け
いつもの日常に歩いていく
『空の境界は地上』
魔法都市ミコトはドーム状の無機質の空間の中にある。
そのため、地上の果ては空と繋がっている。
ユリとガラシャはこの日、誰も居ない地上の果てに来ていた。
この場所からは街の高楼が良く見える。
物悲しい摩天楼も。
「.........あそこが街の中央にある時計台で、あそこが魔法で雲を生成している煙突よ。」
ユリは眼鏡をかけながらガラシャに丁寧に説明していた。
ガラシャは一通り説明を聞き終えてから暫く口を閉じてしまった。
ユリは、その間持ってきたサンドウィッチを食べながら街の摩天楼を眺めていた。
そして、ガラシャが口を開いた。
【光の集まりは
実りし言の
葉を散らす
杞憂の天に
思ひをはせる】
ユリはサンドウィッチを食べ終わり口を開いた。
「なぁるほど、君は韻文を詠むのか......君は私の師匠と同じだね。」
ガラシャは少し恥ずかしくなってユリに言った。
「ち......違うの。これを詠もうと思って詠んだんじゃないの。無意識にこの音が出てきただけなの。」
ユリは少し納得した様子でガラシャに
「なら尚更だよ。もしかしたら君の記憶を取り戻す手掛かりになるかもね。」
ガラシャはその話を聞いて嬉しいような恥ずかしいような顔をした。
To be continued #34 『管理人、来邦』
P.S.授業受けていてなんとなく思ったんですけど。
漢文ってあるじゃないですか。
あれのいつか役に立ちそう感は異常だと思います。
言いたいのはそれだけです笑