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緋い魔女 Part 7-Ⅱ

「…まぁ、今回は精霊退治がメインだから、精霊の正体なんてどうでもいいのだけどね…」
グレートヒェンはくるりと振り向く。
「とりあえず、今日はこれぐらいにしておきましょう。そろそろ日も落ちる頃だし、暗くなってからじゃ色々と大変だもの」
さ、もう戻るわよ…とグレートヒェンが元来た方へ引き返し始めた時、彼女は何かに気付いたように足を止めた。
何かしら…と彼女が振り向くと、そこにいたのはー
「…!」
ー半透明の、オオカミのような巨大な獣。
その金色の眼と、グレートヒェンの目が合った。
ーやられる、そう一瞬の内に悟ったグレートヒェンは声を上げた。
「ナツィ‼︎ 出…」
言いながらナツィがいる方を向いて、グレートヒェンは言葉を失った。
「…へ?」
知らない間に、ナツィはグレートヒェンから少し離れたところにいる…というか、その場から立ち去ろうとしている。