水色を頬っぺたにつけた
きみが笑った
背中に回して隠した気持ち
気づかないフリは有罪かい
薄めすぎた青は
ふたりの背景
窮屈な額縁には似合わない
一筆描きの名画になる
窓の向こうには
果てしない空がある
窓の向こうには
まだ見ぬ世界がある
窓の向こうには
きれいな夕焼けがある
その窓をあけたら
気持ちの良い風があり
その窓の向こう側には
いつもの日常がある
いっしょうけんめい
いっしょうけんめい
腕を伸ばして
「ピンポーン 次 停まります」
ボタンが光って
「おせたぁ!」
にっこり笑う女の子
今日の夕方の、小さなできごと。
ここは 暗い うみの底
静かな 深い うみの底
暗くて 暗くて 真っ黒で 光一本 はいらない
寒くて 寒くて 冷たくて 針百本 ささるよう
そんなところの 岩のかげ
ゆめくらげたちが うまれます
闇の色に 染まった世界
孤独の波に 飲まれた世界
地球で最も 寂しいところ
そんなうみが 変わります
ゆめくらげたちが うまれるとき
何もない1日が終わってから
あの時のことを思い出すんだ
君ともう会えなくなってからも
幸せな日々をまた
寂しくないなんて嘘ついて
君といたいなんて言えなくて
それでもこの恋は終わらない
いつまで経っても君がいい
鍵のなくなった宝箱
思い出せなくなった記憶
逆さになって見上げた空
そんな物語をまだ覚えてる
その最後にはどれも君がいた
髪を結んだ。
するりと指の間を滑って
きゅっと。
靴を履いた。
慣れない革靴で
爪先をトンっと。
そして前を向いた。
風がスカートを揺らした。