今日も不条理な死を迎えてくださったいきものを噛み砕いて
味わう暇もなくごくり飲みこみ
いきものたちの死をわたしたちの生に変えた
もしいつかわたしが不条理な死を迎えたら
ぜひあなたに頬張ってほしいものね
わたしの死をあなたの生に
わたしの哀をあなたの楽に
頂点捕食者がいつだってあなたならどれだけ世界は美しいことか
アイラービューすら言えないわたしの小さな大きな愛の歌
初瀬 紗夜との出会いから
僕の朝のルーティンである駅で一休みが
駅で初瀬を待つというものに変わった
初瀬も電車通学らしくお互い方向は逆だけど
同じ駅に来て同じ駅から帰るんだから駅で会ってバイバイしよう言って聞かない彼女に根負けして朝から泉西駅の休憩スペース的な場所に腰掛けて携帯をいじっている
初瀬 紗夜は結構頑固だと分かった
にしても暇すぎる
明日からはもう少し遅くこようと固く決意していたら
陽気な挨拶が飛んで来た
「おーはー」
「おはよ」
初瀬に比べたらかなり陰なテンションで僕は挨拶を返す
「なんだなんだ暗いぞ少年」
「悪いな少年は寝不足なんだ」
「それはお大事に」
何度か会話を交わした後必ず初瀬はにっこり笑う
笑顔で生きてる人間は生き生きして見えるとどっかで聞いた気がするが初瀬を見てると納得出来る
底抜けに明るい本当に僕の対極生きていると思う
だけど不思議と彼女の隣は心地良い
対極のキャラクターなのに一緒に居て辛くないのが不思議だ
人生で初めての友達らしい友達
初瀬とは長い付き合いになりそうだ
円らなきみのその瞳に
わたしが映っていることに安堵
二重のきみのその瞼に
わたしを描いていてほしい願望
垂れたきみのその皺に
わたしを刻んでくれたらと妄想
明日のきみのその瞳にも
わたしが映っていますように☆ミ
「貴方の事を殺りたいと思ったのですが、貴方を殺ってもいいでしょうか?」
丁寧な殺し屋はニコッと笑った。
そこらへんの殺し屋よりも、この殺し屋になら殺られてもいいと思った。
まるで温かく包んでくれるような笑顔は
殺し屋にとっては大切な武器なのだろうが。
僕は言った。
「ならば一つだけ願いを叶えてください。」
そして彼女にハグをした。
これで彼女が殺りやすくなるのならそれでいいと思った。
しかし彼女は震えていた。
僕は言った。
「怖いのならば僕と一緒に逃げますか?」
彼女はコクッと返事をした。