世界には感動が溢れすぎた
誰もかれもが日々
まるで朝餉のように感動を啜り
しかし感謝の一つも述べようとせずに
夕餉の感動を買い求める
だから清算しようと思う
世の感動は我々が掌握し
その流通を制限し
人々を感動に飢えさせ
しかる後に一滴ばかりの感動を与えるのだ
皆が感動を享受する喜びに打ち震える
そして感動を与える者たちに
これ以上ないくらいの感謝を述べさせるのだ
さあ、我が善にして義なる企てのため
我々は世界を征服しよう
「この太平を作ったのは憲法だ」
教師はそう言った
史料ではそうかもしれない
でも平和を作るのは
何も言葉だけじゃない
耳を澄ますと聞こえてくる
色んな声や物音
人は誰もその喧騒に
大事なものを聴き逃している
この世のどこかで鳴る鐘の音を…
神様が鳴らすこの音を…
“人の音に変える日まで…”
鐘を鳴らす紐を紡ぎ争い…
鐘を鳴らす綱を奪い合う…
神様なんていないから…