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せかいせいふく

世界には感動が溢れすぎた

誰もかれもが日々
まるで朝餉のように感動を啜り
しかし感謝の一つも述べようとせずに
夕餉の感動を買い求める

だから清算しようと思う

世の感動は我々が掌握し
その流通を制限し
人々を感動に飢えさせ
しかる後に一滴ばかりの感動を与えるのだ

皆が感動を享受する喜びに打ち震える
そして感動を与える者たちに
これ以上ないくらいの感謝を述べさせるのだ

さあ、我が善にして義なる企てのため
我々は世界を征服しよう

1

誰がその鐘を鳴らすのか?

「この太平を作ったのは憲法だ」
教師はそう言った
史料ではそうかもしれない

でも平和を作るのは
何も言葉だけじゃない

耳を澄ますと聞こえてくる
色んな声や物音
人は誰もその喧騒に
大事なものを聴き逃している

この世のどこかで鳴る鐘の音を…
神様が鳴らすこの音を…

“人の音に変える日まで…”

鐘を鳴らす紐を紡ぎ争い…
鐘を鳴らす綱を奪い合う…

神様なんていないから…