こんなにも年齢にそぐわない恋をしてる
触れたいだとか独り占めしたいだとか
そういうのじゃなくて
ただ君の目に映ることが嬉しくて
好きで心がいっぱいになって
こんなにまっすぐで透明な恋
まだ間に合うなんて、と驚いた振りをしてる
随分色んな人達の元に行ったのよね…、とグレートヒェンは目を細める。
「著名な魔術師や有力貴族の屋敷、流石に王族に会ったことはないけど、招待されて国外へ行ったこともあった」
わざわざ家に押し掛ける人もいた、とグレートヒェンは笑う。
「でもこんなのは序の口だったわ」
だんだん私そのものを欲しいと言う人も現れてね…、とグレートヒェンは苦笑する。
ナツィは思わずまさか、と呟いた。
グレートヒェンはにやっと笑って、そのまさかよ、と返した。
「自分の専属魔術師にしたい、って人もいたけど、大概は私を自らの一族の一員にしたい、って言う人が殆どだった」
そう言って、グレートヒェンは真顔に戻る。
「平民の出とは言え魔術に関しては非常に優秀だから、一族に優秀な血を加えたいとか、一族に箔を付けたいって言う人達がかなりいたの」
でも皆断ったわ、とグレートヒェンは淡々と言った。
「私が幼過ぎたってのもあるし、両親にその気がなかったというのもあったし」
だけどね…とグレートヒェンは呆れたように続ける。
「殆どの人は、断られても粘り続けてたわ」
大金を積むなり、権益をちらつかせるなり、とグレートヒェンは付け足した。