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輝ける新しい時代の君へ ⅩⅤ

「ねえ、キミはいつも一人ですか?」
「ちがう。おじさんがいるからな」
「でも一人は……良くないだから、セーコさんのところに早く行く方が良いヨ」
「だから一人じゃないんだって」
「キミは……フシギな子だと……ワタシ思う」
 リイさんが公園から出た後、少年はその会話を思い出して不貞腐れた。無性に悔しくてならなかった。涙が零れそうになったが、友人がいる手前、泣くのもみっともなくてグッと堪えた。
 俯いて唇を噛む少年に、男は、何でもなかったかのようにヘラヘラ笑った。
「俺さァ、影薄いんだよね。最近は無視されることもザラだよ」
 夏の空気に似合う、涼しげな笑顔だった。
「むしされるほどなのか?」
 震える声で尋ねると、男は頭を掻いておどけて言った。
「もう嫁にもシカトされてんだぜ」
 苦笑ながらもニッと歯を見せて笑う姿がおかしくて、少年は声を出して笑った。
「なんだそれ、かわいそ」
「可哀そうだってェ?他人事だなァ……おっと、こんなことしている間にもう時間だ」
「ほんとだ」
「じゃ、今日はこれで」
「うん」
 そして少年は男に見送られ、いつも通り走って公園の出口に向かった。公園から出る直前、少年は一度立ち止まって、道路の方を向いたまま顔の汗を手で拭って「おじさん」と呼んだ。
「どうしたんだい」
「……やっぱり何でもない」
「?」
 少年はそのまま走って行ってしまった。